ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

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篠山紀信『MAGIC』 / 斎藤環「TDL」の「ヘアヌード」 (ディズニーと労働 2)

篠山紀信『NUDE』特集だった先月号の「美術手帖」で、斎藤環が[「TDL」の「ヘアヌード」]と題した論評を寄せていた。客のいなくなったテーマパーク内でキャラクターたちを激写した写真集『MAGIC 篠山紀信 at 東京ディズニーリゾート』に触れて斎…

みくみくになってやがる@GEISAI

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「ユリイカ」総特集初音ミクasin:4791701879に寄せた「「P」の悲喜劇」で僕は、80年代のニューアカ周辺が『マックス・ヘッドルーム』asin:B000J3FFZIを話題にしていたのに対し、ゼロアカでは『アイドルマスター』のMADが――てなことを書いた。 一方、メディ…

ゼロアカ道場第五回関門の告知が

http://shop.kodansha.jp/bc/kodansha-box/zeroaka/kanmon_05.html 特別審査員に筒井康隆と村上隆とは……。 筒井の起用は、“評論家の梁山泊”という彼の小説『俗物図鑑』のシチュエーションがゼロアカ道場と近しいためか、それとも落選者は『大いなる助走』の…

スタンリー・ドンウッド個展

(小説系雑誌つまみ食い 33――「本が好き!」5月号) 銀座の東京画廊+BTAPで催されているスタンリー・ドンウッド個展「I LOVE THE MODERN WORLD」を、昨日、覗いてきた。 http://www.tokyo-gallery.com/index_j.html レディオヘッド…

天野可淡展

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昨日、渋谷に行く用事があったので、「マリアの心臓」でやっている天野可淡展によった。 http://www.mariacuore.com/ 狭いスペースに、客は自分ひとり。すごく間近に、カタンドールがいる。そして、彼女たちは、あの眼でこちらを見ているわけだ。 とても、ド…

石田黙展

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折原一の『黙の部屋』は、70年代に活動した謎の画家・石田黙の伝記的小説であり、ちょっとした作品集でもあるという性格を持っていた。この本に掲載された図版に接してから、一度、石田黙の実物の絵を見てみたいと思っていたのだ。 そして今、彼の絵のコレ…

「アートで候。 会田誠・山口晃展」

一昨日、上野の森美術館でこの展覧会を見たのであった(19日まで)。 http://www.ueno-mori.org/special/aida_yamaguchi/index.html 先日、東京都現代美術館でマルレーネ・デュマス展を見た時、常設展にも回り、会田誠の「スペース・ウンコ」、「美しい旗…

『マイクロポップの時代』と『フューチャリスト宣言』

マイクロポップの時代:夏への扉作者: 松井みどり出版社/メーカー: PARCO出版発売日: 2007/03メディア: ペーパーバック購入: 3人 クリック: 19回この商品を含むブログ (28件) を見る 結局、忙しさと金欠で展覧会を見に行けなかった『マイクロポップの時代:夏…

マルレーネ・デュマス展

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東京都現代美術館で「マルレーネ・デュマス――ブロークン・ホワイト」を見た。 微妙に歪な顔、滲んだ肌の色――という絵ばかりだ。 特に、人の顔をバーッと並べた展示、ほとんど裸の少年の姿を並べた展示に凄みがある。まるで、前者は遺影だけが収録された卒業…

昭和館&東京国立近代美術館

「昭和の日」だった一昨日のこと。九段下にある昭和館、竹橋にある東京国立近代美術館の所蔵作品展がいずれも無料だったので、はしごしてきた。 まず、昭和館で特別企画展「手塚治虫の漫画の原点 戦争体験と描かれた戦争」(これも無料)を見てから、常設の…

梅佳代

(小説系雑誌つまみ食い 15――「小説すばる」4月号) 「小説すばる」では4月号ASIN:B000O58XRI、「かっぺ道」と題した梅佳代の新連載がスタートした。彼女の写真に自筆コメントを付けたスタイルであり、担当編集者は 地域に土着した所謂“かっぺ”と呼称され…

大竹伸朗『全景1955−2006』

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昨日、会期終了間際の『全景』展を、東京都現代美術館で見てきた。 まず、順路の最初のほうに展示されたスクラップブック全64冊に圧倒される。あれやこれやが切り貼りされたこれらスクラップブックが冒頭に置かれることで、『全景』展全体がスクラップブッ…

カウパレード

昨日、丸の内に行って、ぶらぶらとカウパレードを見た。牛に絵を描いたり、形をアレンジしたオブジェを、街のあちこちに配置するイベントである。閉幕間近にようやく行けた。 http://cowparadetokyo.com/凄かったのは、パソコンのキーボードをびっしり並べて…

「ディズニー・アート展」

昨日、東京都現代美術館にて「ディズニー・アート展」をみる。 http://www.disney.co.jp/disneyart/index2.html 飾られた絵のなかに、「コンセプト・アート」と肩書きのついたものが少なからずある。しかし、べつに前衛的でも実験的でもない、普通の絵じゃん…

岡本太郎「明日の神話」

ふと気づけば、公開最終日になっていた。 http://www.1101.com/asunoshinwa/ ひたすらテープ起こし、並行してあれこれ業務連絡、炊事という日々。外に出る用事があったついでに、ささっと汐留まで行き、ささっと「明日の神話」を見る。デカい。なるほど、思…

藤田博史『人形愛の精神分析』

人形愛「の」精神分析というより、人形愛「と」精神分析――の印象。眼、皮膚、関節などパーツごとに話題を移しながら、人形創作者/愛好家に向け、ラカン派精神分の考えかたをわかりやすく伝えようとしている。その意味では、入門書の一種になっている。ただ…

DOB君とマウスくん

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http://www.kaikaikiki.co.jp/news/list/murakamis_lawsuit/ 自分は“引用”を前提に“アート”してるくせに、なぜか今さら声高にオリジナリティを主張し、他者から著作権を侵害されたのだと訴える。最初は、現代美術的な意味における“パフォーマンス”なのかと思…

藤田嗣治展

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昨日、東京国立近代美術館へ藤田嗣治展を見に行った。エコール・ド・パリ時代、南米志向、日本回帰、戦時下、再びフランスへ――と年代順に並べられた作品を順繰りにみても、本当によくわからない人だ、なにを考えていたのか。 写実性の度合い、画のボリューム…

ブライアン・イーノ 音楽映像インスタレーション展

昨日、ラフォーレミュージアム原宿で、「77 MILLION AN AUDIO VISUAL INSTALLATION BY BRIAN ENO」をみた。 うす暗い空間のあちこちにモニターが設置され、そこに抽象絵画がフェイドイン/フェイドアウトを繰り…

大塚英志 大澤信亮『「ジャパニメーション」はなぜ敗れるか』

ナベプロ副社長の渡辺美佐も一部プロデュースにかかわった1970年の大阪万博を揶揄するくだりが出てくるのが、この本。 昨今のオタク・ビジネス振興ブーム、その国策性に思いっきり冷水を浴びせるのが主眼で、ついでに“萌え”を取り込んで海外進出する現代…

PHOTO IS

最近見かけるFUJI FILMのCM。〈イマジン〉が流れるなか、次々にジョン・レノン&オノ・ヨーコの写真が映り、とどめはキスする2人をとらえた『ダブル・ファンタジー』ジャケASIN:B000AU1NVK。今のヨーコ本人が「PHOTO IS(写真は) ○○」と…

「新宿城」、『ダンボールハウス』

昨日記した『≒会田誠〜無気力大陸〜』では、パリのカルティエ現代美術財団美術館で催された「ぬりえ展」(2002年)において、会田が「新宿城」を再現する姿にも時間を割いていた。 「新宿城」とは、なんとも大沢在昌・馳星周的に響く言葉だが、ハードボ…

『≒会田誠〜無気力大陸〜』

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昨日、日本映画専門チャンネルで『≒会田誠〜無気力大陸〜』(2003年)を放送していた。技法をとっかえひっかえしながら、旺盛に作品を送り出し続ける現代美術家を追ったドキュメンタリー。http://www.bbb-inc.co.jp/aida/ この映像記録の編集で、主軸と…

建石修志展

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虹の獄、桜の獄作者: 竹本健治,建石修志出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2005/10/15メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (17件) を見る 個展の案内状には〔本に微睡む 或いは 紙に浮かぶ夢〕とあった。本の装画を多く手がけてきた画家…

藤里一郎×伊坂幸太郎『死神の精度』写真展

映画の帰り、近くの青山ブックセンター本店に寄ってみると、伊坂幸太郎『死神の精度』の表紙および作中の写真を担当した藤里一郎の写真展をやっていた(7日19:00まで開催)。 青と黒を基調にした表紙の写真は、文字デザインの効果もあって、昔のジャズのLP…

「美術手帖」6月号、あるいは西島大介

「美術手帖」最新号ISBN:B0009J4UDU、西島大介インタヴュー、舞城王太郎特別展覧会(イラスト集)、斎藤環の評論があって、なにやら「ファウスト」っぽい名前の並びである。それも当然だろう。「ファウスト」(こっちの最新号ISBN:4061795724ック掲載)が“闘…

ゴッホ展

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昨日、東京国立近代美術館でゴッホ展を見た。画風の推移に伴い、塗られた絵の具の盛り上がりぐあいが変わっていくのが面白い。こうした立体感は、やっぱり画集では味わえない。 展覧会では、ゴッホに影響を与えた画家や交流のあった画家の絵も飾られていた。…

椹木野衣『戦争と万博』

刺激的な「大阪万博=エキスポ’70」論。 博覧会と植民地の関係性は、よく指摘されるところ。椹木は大阪万博が、傀儡国家「満州国」の理想主義の後継としてあったことを指摘しつつ、前衛芸術家たちが〔たがいの主義主張のちがいを留保して大同団結し、国家の…

「マルセル・デュシャンと20世紀美術」展

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昨日、初めてみなとみらい線に乗り、横浜美術館でやっていたデュシャン展に行った。最終日だったと、今日になって気づいた。にぶいヤツである。 無料上映の「マルセル・デュシャン事件」(84年)を見る。ホームズ&ワトソンがデュシャンの業績を捜査するとい…

「COMIC 新現実」vol.3関連

ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館帰国展「グローバルメディア2005/おたく:人格=空間=都市」 森川嘉一郎がコミッショナーとなったOTAKU展を昨日、東京都写真美術館で見る。事前に見たカタログISBN:4344008979った、というのが正直な感想。身も蓋…