ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

novel

『ケータイ小説的。』/『文学の断層』/浜崎あゆみ

ケータイ小説的。――“再ヤンキー化”時代の少女たち作者: 速水健朗出版社/メーカー: 原書房発売日: 2008/06/09メディア: 単行本購入: 25人 クリック: 781回この商品を含むブログ (213件) を見る いろいろと刺激的な本である。速水健朗は、ケータイ小説で描かれ…

角田光代と「詰め込みすぎ」

(小説系雑誌つまみ食い 35――「小説宝石」6月号/「クロワッサン」6/10号) 「小説宝石」最新号では、第2回小説宝石新人賞が発表されており(受賞作は中島要「素見(ひやかし)」)、選考委員の奥田英朗と角田光代による最終選考対談が掲載されている。そこ…

前田塁『小説の設計図』

25日に青山ブックセンターで、『文学賞メッタ斬り!2008年版 たいへんよくできました編』asin:4891947748刊行記念 大森望・豊崎由美×市川真人(+前田塁) トークショウ「メッタ斬り!をメッタ斬り?」を見てきた。 前田塁『小説の設計図(メカニクス)』…

今さらだが「ニッポンの小説はどこへ行くのか」

(小説系雑誌つまみ食い 34――「文學界」4月号) なにを今さらだが、図書館で見かけたので「文學界」4月号を借りてきた。例の11人大座談会「ニッポンの小説はどこへ行くのか」(岡田利規、川上未映子、車谷長吉、島田雅彦、諏訪哲史、田中弥生、筒井康隆、中…

「ダ・ヴィンチ」+「SIGHT」=「文藝」?

(小説系雑誌つまみ食い 32――「文藝」夏号) 文藝 2008年 05月号 [雑誌]出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2008/04/07メディア: 雑誌 クリック: 24回この商品を含むブログ (37件) を見る http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309977133 表紙が一青窈で…

第19回浦安文学賞

本日付けのタウン紙「うらやすニュース」のトップ記事は、「第19回浦安文学賞決まる」。 いつもの渡辺淳一先生が今回選んだ受賞作は、藤沢すみ香(48歳)「二十枚の半券」。紙面の紹介文には、〔寝たきりの老いた母に淡い恋の相手がいたことを知った娘の複雑…

さらに『クリアネス』、辻仁成

(『ピアニシモ』『ピアニシモ・ピアニシモ』の趣向に触れています) 『ピアニシモ』 『クリアネス』の(特に映画版で強調されていた)「レオ−透明人間」という分身関係に近い図式は、辻仁成のデビュー作『ピアニシモ』(90年)にも見出せる。 いじめが待…

再び『クリアネス』、村上龍、Yoshi

http://d.hatena.ne.jp/ending/20080305#p1のつづき 『クリアネス』と酒鬼薔薇聖斗 自らを「透明な存在であるボク」と形容した酒鬼薔薇聖斗(当時14歳)が97年に起こした殺人事件から10年後。2007年に刊行された十和『クリアネス』には「限りなく…

自分探し、逃走、蒸発

速水健朗『自分探しが止まらない』 ミステリには、真相探しと自分探しの相乗効果を狙った作品がある。事件に巻き込まれた記憶喪失の人間がいて、彼が真相を発見すると同時に、本当の自分も知ることになる――というストーリーに典型的であるような。だから、ミ…

米光一成「大人にゃ見えない、ケータイ小説という少女たちの秘密基地」

「週刊ビジスタニュース」最新号に、上記の文章があった。米光の考察には、納得させられるところが多い。 http://www.sbcr.jp/bisista/mail/art.asp?newsid=3301 まず彼は、『Deep Love』、『恋空〜切ナイ恋物語 〜』などのケータイ小説の内容が、60…

映画&小説『クリアネス』

(映画版の趣向に触れています) クリアネス―限りなく透明な恋の物語作者: 十和出版社/メーカー: スターツ出版発売日: 2007/02/01メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (15件) を見る 第1回日本ケータイ小説大賞を受賞した十和『クリアネス …

倉橋由美子『聖少女』新潮文庫改版

解説が桜庭一樹。とても正しい人選である。 『私の男』に魅力を感じた人は、『聖少女』も読んで欲しい。

永江朗「ベストセラーってなんだ?」@浦安市立図書館

浦安市立中央図書館では現在、「ベストセラーってなんだ?」というテーマで所蔵本の特集展示を行っている。 http://library.city.urayasu.chiba.jp/special/special/index.html それにあわせて昨日、同図書館にて「ベストセラーってなんだ?」と題した永江朗…

豊崎由美VS.ケータイ小説@ニコニコ動画

11月16日のTBSラジオ ストリーム「コラムの花道」で、豊崎由美が「大人気・ケータイ小説をめった斬り」というお題で喋っていた。 (ここで聞ける→ http://tbs954.cocolog-nifty.com/st/files/st20071116.mp3) これ自体は、書評家・トヨザキ社長の見…

「ジョン・レノンが撃たれた日」と小説新世代

(小説系雑誌つまみ食い 27――「小説新潮」12月号) 明日はレノンの命日に当たるが、「小説新潮」が「ジョン・レノンが撃たれた日」と銘打ち、巻頭特集を行っている。蓮見圭一、小路幸也、薬丸岳、諸田玲子が1980年12月8日をテーマにした短編を寄せ、…

鈴木謙介と庄司智春

『文化系トークラジオLife』本asin:4860110773をめくっていると、「憧れの女性」の回で鈴木謙介がこんな思い出を話していた。 大学1年の頃、授業中に岡村靖幸の歌詞を教室の机に落書きしたら、次の週に女の子の字で応答があった。その後も同様のやりと…

島本理生と佐藤友哉

(小説系雑誌つまみ食い 26――「野性時代」12月号) http://www.kadokawa.co.jp/sp/200310-02/ 特集は「島本理生の恋と文学」。そこでは、小川洋子、乙一、角田光代、滝本竜彦、長嶋有などの作家たちが、島本にいろいろ質問するコーナーがあり、佐藤友哉の名…

文学フリマで買ったもの

「ベクトルズ」 「佐々木敦 ティーンエイジ赤面作品集 詩と小説 1981−1982」 「吉田アミは書きました」 「虹釜太郎の言葉、食、そして、音。」 「虹釜太郎少女詩集 旧少女機械」 「書評王の島」 「文学フリマ五周年記念文集」 「物語の(無)根拠」…

『クローズド・ノート』と『恋空』

映画の舞台挨拶をめぐり、ふてくされていた沢尻エリカと、病気をおして出席した新垣結衣が、対比されて報道されている。 2人の主演した映画の原作が、雫井脩介『クローズド・ノート』、美嘉『恋空』であるのが興味深い。『恋空』はご存知の通り、ケータイ小…

Jポップとケータイ小説

最近自分が書いたもの ZARD《HOLD ME》レビュー/森高千里〈私がオバさんになっても〉コラム/森田童子〈ぼくたちの失敗〉コラム/ZARD(坂井泉水)vs今井美樹 コラム → 「音楽誌が書かないJポップ批評:50:ZARD&アーリー90'sグ…

嶽本野ばら「ROCK 'N' ROLL SWINDLE」

(小説系雑誌つまみ喰い 24――「野性時代」9月号) 嶽本野ばらが、大麻所持で逮捕されたと報じられている。 YOMIURI ON LINE http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070903i205.htm?from=navr嶽本は「野性時代」asin:4047220965で、「RO…

角田光代「ロック母」『予定日はジミー・ペイジ』

最近自分が書いたもの 「2007年のニルヴァーナ」 / 「BOOK おんざろっく」第1回 ストーンズが聞こえる小説(←絲山秋子『ダーティ・ワーク』、東山彰良『イッツ・オンリー・ロックンロール』を取り上げた) → 「ロックジェット」Vol.29(シン…

金原ひとみとギャル曽根

(小説系雑誌つまみ喰い 23――「野性時代」9月号) 野性時代 vol.39 (2007 2) (39)出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 2007/01メディア: ムック購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (14件) を見る http://www.kadokawa.co.jp/sp/200310-02/「野性時…

TSUTAYA&すばる書店 VS スリーエフ&文教堂書店

以前書いた通り、浦安界隈にあるTSUTAYAを運営していた㈱アークが自己破産したため、いったんこの近辺はTSUTAYA空白地帯になった。だが、その後、閉店に追い込まれた2店舗の運営をすばる書店が引き継いだため、現在では浦安市内のTSUTA…

ケータイ小説とTSUTAYAと夕刊紙・スポーツ新聞

旧聞になってしまうが、今月最初の週に東京ビッグサイトで催された東京国際ブックフェアに行ってきた。いろいろ興味深い展示はあったが、「書店に未来はあるのか! 大型書店から街の本屋まで、激変期の書店経営者が徹底討論」と題されたシンポジウムにおいて…

円城塔「オブ・ザ・ベースボール」/『Self-Reference-ENGINE』

文学界新人賞受賞作で、今回の芥川賞候補作の一つだった「オブ・ザ・ベースボール」。一年に一度くらい人が降ってくる町があり、レスキュー隊がそれをバットで打ち返すという、それだけのアイデアで押し通した話だ。受け流さない点は異なるものの、ムーディ…

古川日出男×向井秀徳

http://www2.spaceshowertv.com/DAX/index.php?iflag=1 やっと空き時間ができたので、古川日出男と向井秀徳のセッションの模様を↑で見た(公開は15日まで)。 この夜のライヴは、第一部が古川の朗読ギグ、第二部が向井秀徳アコースティック&エレクトリッ…

『ロンドンハーツ』――「芸人“恋愛”小説大賞」の庄司智春

テレビ朝日系『ロンドンハーツ』19日夜放送分。 http://www.tv-asahi.co.jp/londonhearts/ 劇団ひとり『陰日向に咲く』asin:4344011023、品川祐(ヒロシ)『ドロップ』asin:4898151833、千原ジュニア『14歳』asin:4062137992、ふかわりょう『DSJ 消え…

米澤穂信「入荷と返品の間に残るもの」

(小説系雑誌つまみ食い 22――「小説すばる」7月号) http://syousetsu-subaru.shueisha.co.jp/ 「小説すばる」はこの号で、「本屋さん大好き!!」という特集を組んでいる。 そのなかで南陀楼綾繁が、実録・妄想の向こう側「本屋さんになりたい。」というレ…

ケータイ小説、『セカチュー』、泣きゲー

(小説系雑誌つまみ食い 20――「ダ・ヴィンチ」7月号。ついでに「PLANETS」VOL.3) 「ダ・ヴィンチ」最新号の第二特集は、「最近売れてるらしいけど……ケータイ小説ってどうなの?」という企画。 そのなかで「若者がケータイ小説にハマる理由」を…