ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

政治家・初音ミクとミッキーマウス

7日の「ウェブ学会シンポジウム」に僕も行ったのだった。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0912/07/news102.html
濱野智史によると、ヴァーチャル政治家・初音ミクの強みは、遍在可能なことだそうな。
とはいえ政治の現場では、A党と交渉したうえでB党に打診、とか、米国と合意したうえで中国と交渉――のような段取りの必要な機会がけっこうある。複数同時並行では、相手に信用してもらえない場面があるわけだ。
一方、ディズニーランドでは、ミッキーマウスの意匠が大量にコピーされ、ぬいぐるみをはじめとするグッズ、壁面のマーク、標識などなど、様々な姿形のミッキーで溢れかえっている。しかし、生きている(設定の)ミッキーマウス本人(=人が入った着ぐるみ)が、パーク内で複数同時に別の場所で出現するのは避けるという配慮がされている。パーク内でミッキーは、同時刻に1名しか存在しない。そうすることで、ミッキーマウスという存在の唯一性、リアリティを演出しているのだ。
で、仮に初音ミクが政界進出した場合、ディズニーランド内のミッキーマウスと同様に遍在可能性は抑圧され、結局、本人としての唯一性、リアリティを求められてしまうんじゃなかろうか、と想像したわけ。
まぁ、遊戯的な思考実験に対し、真面目に考えてもしかたないんですが(笑)。

というわけで、僕も執筆していた↑を掲げておこう。


付記)パーク内でミッキーマウスが同時に複数存在しない――というのは、ファンの間ではよく知られ、流布しているディズニー戦略である。だが、「同時に2人のミッキーを見たよ」、「都市伝説じゃないの」という話も聞く。実際のところ、どうなんだろう?