ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

[topos]『新幹線お掃除の天使たち』ミュージカル化

新幹線お掃除がまさかのミュージカル化! 「どう表現すればいいのか…」 http://news.nifty.com/cs/item/detail/sinkan-20130306-3390/1.htm
ミュージカル公式HP http://www.duncan.co.jp/web/stage/shinkansen/index.html

新幹線お掃除の天使たち 「世界一の現場力」はどう生まれたか?

新幹線お掃除の天使たち 「世界一の現場力」はどう生まれたか?

円堂都司昭の2013年三部作『エンタメ小説進化論 “今”が読める作品案内』、『ディズニーの隣の風景: オンステージ化する日本』、『ソーシャル化する音楽 「聴取」から「遊び」へ』では、非選抜アイドル(←AKB48在籍時の仲谷明香が出した新書のタイトル)とカストーディアル(ディズニーの清掃担当のキャスト)の立場の親近性を裏テーマにすえていた。
そして、たとえメディア選抜ではなくとも、華やかではない清掃担当であっても、ステージを成立させるためのアイドルの一員であり、キャストの一員であり、自分の居場所を与えられているのだという類の動機づけが、今の日本を下支えしている状況を考察した。「オンステージ化する日本」である。
『ディズニーの隣の風景』では、植村花菜トイレの神様”や『ディズニーのそうじの神様が教えてくれたこと』など、近年の清掃を称揚する空気に触れ、『新幹線お掃除の天使たち』の書名もあげた。なので、今回のミュージカル化には、とても興味がある。
AKB48のなかであまり目立っているとはいえない片山陽加や、48グループのなかで唯一解散してしまったSDN48の元メンバーが、話題になった清掃業務を演じる。それこそ、「非選抜アイドル meets カストーディアル」的なシチュエーションだろう。私のためのミュージカルか?


もう一つ気になるのは、主役の専業主婦を杜けあきが演じること。彼女は菅野よう子作曲“花は咲く”を歌っていた東北出身者の一人であり、かつては宝塚雪組のトップスターだった。で、タカラジェンヌ時代の代表作であり退団公演でもあったのが、杜が大石内蔵助を演じた「忠臣蔵 -花に散り雪に散り-」だった。私は、男装の四十七士が歌い踊るところをたまたまWOWOWとかで見て、えらく衝撃を受けた。私は90年代には宝塚にハマっていたのだが、きっかけは、涼風真世のオスカル(『ベルサイユのばら』)と杜の内蔵助の映像に接したことだった。
その四十七士のセンターとして貫録を示していた“かりんちょ”(杜けあきの愛称です)が、今度はお掃除おばちゃんグループのセンターに立つ。「トップスターから非選抜アイドル/カストーディアルへ」的なこの落差には関心がある。やはり、観劇するべきなのか?


(関連雑記 http://d.hatena.ne.jp/ending/20130209#p1)