ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

宮内悠介「かぎ括弧のようなもの」

事件報道における「バールのようなもの」という表現にモヤモヤしている人は大勢いるようだが、「読楽」8月号には、宮内悠介の「かぎ括弧のようなもの」という小説が掲載されている。拙著『エンタメ小説進化論 “今”が読める作品案内』で論じた宮内の第一作品集『盤上の夜』は、後に日本SF大賞を受賞した。その受賞後第一作短篇と銘打たれた「かぎ括弧のようなもの」は、題名通りかぎ括弧のようなものによる殺人を語っている。これが謎すぎて、モヤモヤどころの話ではない。謎解きミステリではないし、私の読後感を書くなら、「きょとん……」。