映画『エスケイプ・フロム・トゥモロー』は、ディズニーのテーマパークでゲリラ撮影した、ちょっと奇妙なダーク・ファンタジーだった。あの「夢と魔法の王国」の裏側に潜んでいる(かもしれない)要素を暴き出した怪作といった趣である。
映画の日本公式サイトhttp://escapefromtomorrow.jp/
しかし、塩をかけることで西瓜の甘さを引き立たせるように、ディズニーの夢々しさと対比することで不幸をいっそう引き立たせた作品、あるいは、ディズニーの裏側を妄想した作品というものは、以前から存在した。
8月8日に行ったB&Bでのトーク、円堂都司昭×ワクサカソウヘイ「ようこそ【黒い】夢の国へ。いまアナタの新しい夢の国への扉が開く」 (映画『エスケイプ・フロム・トゥモロー』公開記念)では、その種の作品をいくつか紹介した。トーク用に用意していたメモからいくつか抜粋し、掲載しておく。
松岡圭祐『ミッキーマウスの憂鬱』
東京ディズニーランドの着ぐるみを扱う美装部で働き始めたフリーターが主人公。ミッキーマウスの着ぐるみ紛失事件が起きる。
桐野夏生『冒険の国』
シンデレラ城の見える浦安のマンションに暮らす家族。高校時代の恋人の自殺を引きずる30代未婚の次女。
マンション内のクレームではミッキーのメモ用紙が使われ、キャストも住んでいる。
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20140722#p1)
宮部みゆき『火車』
シンデレラ城前の写真と住宅展示場の写真を残し失踪した女性。彼女は借金取りから逃れるため殺人を犯していた。
(関連した私の評論。「マイホームとシンデレラ城――宮部みゆき『火車』『理由』考」 https://note.mu/endingendless/n/n4fd9b8c5bc51)
『篠山紀信 at 東京ディズニーリゾートMAGIC』
大川隆法『ウォルト・ディズニー 感動を与える魔法の秘密』
BLANKEY JET CITY“ディズニーランドへ”
ディズニーを脇に置くと不幸が映える。その極致ともいえる歌詞はこちら。 http://www.utamap.com/viewkasi.php?surl=E02710
名曲。↓収録アルバム。
- アーティスト: BLANKEY JET CITY
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その他、今年これまでに私が書評でとりあげた本の一覧はこちら。↓
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