自分がまだ中学・高校生だった1970年代に出会った雑誌に、近年になってからようやく原稿を書く機会を得たのは、なんだか不思議な経験だった。で、「本の雑誌」はあまり変わらぬ風情のまま今も続いているけれど、「宝島」は何度もリニューアルしてまるで別の雑誌になっていた。
てなわけで、「宝島」休刊号の書評では羽田圭介『スクラップ・アンド・ビルド』をとりあげた。もう、今回のスクラップの後、同誌がまたビルドされることはないのだろうけれど……。
そして、このほど私が刊行した『戦後サブカル年代記 -日本人が愛した「終末」と「再生」-』のなかでは、羽田の小説とは別の意味あいで「スクラップ・アンド・ビルド」をキーワードの一つにしている。自著では、「終末」と「再生」の反復である歴史に対して、バブル景気に沸いた1980年代の楽観的態度を象徴するフレーズとして「スクラップ・アンド・ビルド」を登場させている。
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2015/08/25
- メディア: 雑誌
- この商品を含むブログ (3件) を見る
- 作者: 羽田圭介
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2015/08/07
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (36件) を見る