ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

スティック・メン+『ライヴ・イン・トーキョー2015』

http://tower.jp/item/4138115/ライヴ・イン・トーキョー-2015-(2015年4月10日ビルボード公演録音盤)<生産限定盤>


キング・クリムゾントニー・レヴィン、パット・マステロットが組んでいるトリオ、スティック・メンに、クリムゾンの元メンバー、デヴィッド・クロスが客演した来日公演。私が見に行った1stセットと未見の2ndセットを収録しているのだが、後者のほうが選曲がいいのが悔しい。
“トーキング・ドラム”と“太陽と戦慄パートII”を会場で聴いた時には、これらのヴァイオリン入りヴァージョンに生で接したのは初めて、という感動があった。エイドリアン・ブリューの加入後、ギター2本で演奏されるようになったメタリックなアレンジとは、当然、異なる響きがあったのだ。以上2曲のほか、やはりクリムゾン名曲のヴァリエーションである“シェイズ・オブ・スターレス”が両セットで演奏された。
他のクリムゾン楽曲については、1stセットで“インダストリー”を選んでいたのに対し、2ndセットで“サートリ・イン・タンジール”をとりあげていた。後者は80年代の曲だが、やはりヴァイオリンが入ることで“トーキング・ドラム”のような響きとなり、エスニックなニュアンスも強調されて70年代クリムゾン風になっていたのが面白かった。
さらに2ndセットでは、オリジナルではレヴィンがベースを弾いていたフリップのソロ曲“ブレスレス”をカヴァーしている。“レッド”的なメタリックさと“ディシプリン”的なアルペジオを組み合わせた4分の7拍子が中心の同曲は、70年代クリムゾンと80年代クリムゾンのミッシング・リンク的な位置にある。フリップ作のメタル系ナンバーでは、私が一番好きな曲でもある。これを生で見られなかったのは残念でならない。しかも、2ndセットでは、スティック・メンの十八番といえるストラヴィンスキー火の鳥”のカヴァーまで披露したのだ。
なんで、2ndセットではなく1stセットのチケットを買ってしまったのか、今さら後悔させられたライヴCDであった。

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