ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

宝塚月組『ベルサイユのばら オスカルとアンドレ編』

昨夜、録画したままになっていた宝塚月組ベルサイユのばら オスカルとアンドレ編』(2013年上演)を視聴した。龍真咲のオスカル、明日海りおのベルナール、花組から客演の蘭寿とむアンドレといったキャストである。
基本的に、マリー・アントワネット本人は登場せず、伝聞でその名が語られるばかりなのだが、その語られかたによって存在感が与えられている。貴族と平民の対立がしっかり書き込まれており、革命に至る道筋がわかりやすい展開だ。
また、ジャルジェ家の家族劇としての側面、幼少の頃から一緒にいるアンドレ、そしてフェルゼン、ジェローデルとオスカルの恋愛模様もよく描かれていた。
脚本のアレンジがひどすぎた『オスカル編』(http://d.hatena.ne.jp/ending/20140602)とは違い、この『オスカルとアンドレ編』は、革命、家族、恋愛という主要テーマのバランスがとれており、わりと気持ちよく見られた。
龍真咲のオスカルは、艶のある歌声がいい。

『ベルサイユのばら』―オスカルとアンドレ編― <蘭寿とむ特別出演版> [DVD]

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これを見ていて思い出したけれど、私が小学生の頃、夢中になったNHK人形劇『新八犬伝』(73〜75年放送)と、宝塚における最初の『ベルばら』ブーム(74年初演)は同時代だった。『八犬伝』には犬塚信乃、犬坂毛野という女装の剣士が登場する。それに対し、『ベルばら』にはオスカルという男装の麗人が出てくることを知って興味を持ち、当時テレビ放送された宝塚版『ベルばら』を見たのだった。

  • 最近の自分の仕事
    • めったくた新刊ガイド(とりあげたのは、堂場瞬一『Killers』、安萬純一『王国は誰のもの』、彩坂美月『僕らの世界が終わる頃』、浦賀和宏『ふたりの果て/ハーフウェイ・ハウスの殺人』、千澤のり子編『人狼作家』) → 「本の雑誌」2016年1月号
    • 澤村伊智『ぼぎわんが、来る』、スージー鈴木『1979年の歌謡曲』の書評 → 「小説宝石」2016年1月号