ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

『君の名は。』と村上春樹

君の名は。(通常盤)
離れている2人が超常的なシンクロ現象をみせ、世界の危機にかかわる――という大枠は、村上春樹が得意としたものでもあった。また、『君の名は。』では、少女の口噛み酒を少年が呑むことで奇跡を招き寄せるが、その種の少女の聖性という発想は、村上『1Q84』の「ふかえり」にもみられた。
筒井康隆時をかける少女』の時間跳躍、大林宣彦『転校生』の心の入れ替わり、そして村上春樹など、様々な作品に受け継がれてきたファンタジーの種々の要素を『君の名は。』も継承している。その意味で同映画には、伝統に沿って生まれた成果だという印象を持っている。
君の名は。』は、もう一回、観に行こうと思っている。

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