私の場合、書店か、あるいは本の置いてあるコンビニなどを中心に脳内地図ができあがっている。誰かと待ちあわせする際、約束時間まで暇つぶしできる場所を知っていたほうがいいし、それらを目印にして街を歩いているのだ。本を触っていれば落ち着くというような、職業病っぽい感じもある。
しかし、自分が住んでいる地域はともかく、他の街の飲食や服飾などの店舗、銀行、不動産屋といった類は、なかなか記憶できない。あまり関心がないせいだろう。
以前はCDショップも目印にしていたけれど、もう激減してしまった。で、これから老化して記憶が衰えるというのに、書店の方も減り続けているわけだ。目印を失い、場所を覚えることができなくなった将来の私には、スマホの充電が切れたら即迷子という事態が待っているのだろう。
――紀伊國屋新宿本店から外に出たとたん、なぜかそんなことが思い浮かんで怖くなった悲しくなった。
ちなみに今日買ったのは、橋本治『九十八歳になった私』、星野智幸『焔』、いとうせいこう『小説禁止令に賛同する』。どうも一冊目の書名が、私の無意識に作用したような気がする……。
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