ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

庄司薫死去

 仲俣暁生氏と「昭和50年代文芸を読む」をやっているけれど、昭和44年=1969年発表の庄司薫『赤頭巾ちゃん気をつけて』は、昭和50年代文芸を準備したようなところがあって、その連続読書会でも触れたはず。自分が文芸史を考えるうえで大きな作品でした。

 

 古いメモをめくり返したら、私自身は中学3年生の12月に『赤頭巾ちゃん気をつけて』を読んでいて、同じ月には筒井康隆、森村誠一、平井和正の小説、五木寛之、吉行淳之介、北杜夫のエッセイを読んでいた。我ながら1970年代(=昭和40年代後半&昭和50年代前半)っぽいラインナップだわ。

 

 

最近の自分の仕事

-『ジャイアントロボ』『ゴジラ対メカゴジラ』の解説 → 「SFマガジン」8月号 巨大ロボットSF特集

-スティーヴン・キングの出発点『ロングウォーク』の恐ろしさとは? 「ベトナム戦争のメタファー」を超えた凄み https://realsound.jp/book/2026/06/post-2439584.html#google_vignette

昭和50年代文芸を読む】 新井素子『ひとめあなたに…』

【昭和50年代文芸を読む】2026/6/19(金)19:30~ 新井素子『ひとめあなたに…』(スピーカー:円堂都司昭&仲俣暁生)

https://peatix.com/event/5015537

 

 今週金曜日開催! 会場チケットとオンラインチケットがあります。この回だけの参加も歓迎。

 ラノベの草分け、セカイ系のルーツといわれたりする一方で、80年代当時は『ひでおと素子の愛の交換日記』の吾妻ひでおイラストでキャラ化され、アイドル的人気もあった新井素子を、あらためて語りたいと思います。

 また、新井素子『ひとめあなたに……』について、破滅ものとして、ポスト『ノストラダムスの大予言』『宇宙戦艦ヤマト』といった観点からも話そうかな、と。あと、作中の二人称が「お宅」なのにも注目。

 

 

最近の自分の仕事

-5作同時受賞の「メフィスト賞」とは? https://tree-novel.com/works/episode/62b97f99688dc58d055ef10ff7c805e1.html

-「ロッキン以前のロッキング・オン」第3回 1971~1972年のロック事情 https://www.webdoku.jp/column/endo/

「昭和50年代文芸を読む」第2シリーズ スケジュール変更

「昭和50年代文芸を読む」第2シリーズについて以前、5月から毎月開催としていましたが、7月は開催せず、下記の日程へ変更になりましたのでお知らせします。

 次回は6月19日、新井素子『ひとめあなたに…』をとりあげます。詳細はこちら。https://peatix.com/event/5015537?lang=ja-jp

「昭和50年代文芸を読む」(スピーカー:円堂都司昭&仲俣暁生)

5月15日 中上健次『千年の愉楽』1980年

6月19日 新井素子『ひとめあなたに…』1981年

8月21日 高橋源一郎『さようなら、ギャングたち』1982年

9月25日 島田雅彦『優しいサヨクのための嬉遊曲』1983年

10月16日 佐藤正午『永遠の1/2』1984年

11月20日 山田詠美『ベッドタイムアイズ』1985年

 

 

 

 

最近の自分の仕事

-『プロジェクト・ヘイル・メアリー』はなぜ面白いのか? 科学が創りだすプロットと、地に足が着いたリアリティ https://realsound.jp/book/2026/04/post-2362256.html

-月村了衛『テロル』刊行記念インタビュー(取材・構成) → 「小説すばる」5月号

-小川哲が他人の言葉を「斜め」から解釈する理由「お前だけだ、と言われるギリギリが面白い」 (取材・構成)https://realsound.jp/book/2026/04/post-2365286.html

-奥畑豊『J・G・バラード――混沌とした世界を映すフィクション』の書評 → 「週刊読書人」4月24日号

-ロッキン以前のロッキング・オン 第1回 前説おじさんが書いていた創刊宣言 https://www.webdoku.jp/column/endo/2026/04/23/120000.html

-市塔承『女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在処』書評 https://tree-novel.com/works/episode/e83a4bff674fa7c40ee8973537f2b3b8.html

-『サンキュー、チャック』原作小説はどんな作品か? スティーヴン・キングが描く、人生のかけがえのなさ https://realsound.jp/book/2026/05/post-2382381.html

-原由子 ソロデビュー45周年記念!! はらゆうこを語るひととき「歌い手、作曲者として始まりの頃」 https://southernallstars.jp/feature/sastimes_article21

-「文学フリマ東京42」なぜ国内最大の出版イベントに? 1万8,000人規模で実現した、大塚英志の理念 https://realsound.jp/book/2026/05/post-2393464.html#google_vignette

-小川哲『君のクイズ』は何が面白いのか? 「ゼロ文字正答」巡るミステリが辿り着く、人生の深部 https://realsound.jp/book/2026/05/post-2394157.html

-最果タヒが『枕草子』を現代語訳して見つけた答え「清少納言とはきっと仲良くなれないだろうな」 (取材・構成)https://realsound.jp/book/2026/05/post-2394352.html

-ロッキン以前のロッキング・オン 第2回 音楽評論家・渋谷陽一の出発 https://www.webdoku.jp/column/endo/2026/05/22/233153.html

-『ミステリー・アリーナ』は『君のクイズ』とどう響きあう? “多重解決もの”としての面白さに迫る https://realsound.jp/book/2026/05/post-2400049.html

-信国遥『未館成の殺人』のレビュー → 「ミステリマガジン」7月号

-第67回メフィスト賞受賞 稲葉大樹『大江戸フューチャーズ』書評 https://tree-novel.com/works/episode/bec79408063ae0b39a876c3b567424e4.html

-〈アフタートーク 著者×担当編集者〉第25回 「『百年の時効』伏尾美紀(作家)×武田勇美(幻冬舎)」(聞き手・構成) → 「ジャーロ」No.106 https://books.kobunsha.com/book/b10170574.html

「昭和50年代文芸を読む」第2シリーズ

 赤坂の双子のライオン堂で開催してきた「昭和50年代文芸を読む」の第2シリーズをスタートします。第1シリーズでは1976~1979年の作品をとり上げたのに対し、第2シリーズでは1980~1985年の作品を読んでいきます。

 初回は、これまであえて取り上げていなかった中上健次! この回だけの参加も歓迎です。

【昭和50年代文芸を読む】2026/5/15(金)19:30〜第1回中上健次『千年の愉楽』(スピーカー:円堂都司昭&仲俣暁生) https://peatix.com/event/4954460

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 以後の予定は、次の通り。

第2回 6月19日(金)19:30〜 新井素子『ひとめあなたに…』1981
第3回 7月17日(金)19:30〜 高橋源一郎『さようなら、ギャングたち』1982
第4回 8月21日(金)19:30〜 島田雅彦『優しいサヨクのための嬉遊曲』1983
第5回 9月18日(金)19:30〜 佐藤正午『永遠の1/2』1984
第6回 10月16日(金)19:30〜 山田詠美『ベッドタイムアイズ』1985

 

 

最近の自分の仕事

-齊藤京子主演で話題『恋愛裁判』が向き合う、アイドル文化の功罪 小説版で描かれる、真衣の心情 https://realsound.jp/book/2026/02/post-2297802.html#goog_rewarded

-デヴィッド・ボウイには冴えない時代もあったーー愛あるツッコミ目線でボウイの人間臭さを描く『デヴィッド・ボウイ 増補新版』 https://realsound.jp/book/2026/02/post-2298818.html

-織田裕二、反町隆史、亀梨和也ら出演『北方謙三 水滸伝』の面白さとは? 原典との大きな違い https://realsound.jp/book/2026/02/post-2305169.html#goog_rewarded

-浜辺美波×目黒蓮主演で注目『ほどなく、お別れです』小説としての魅力は? グリーフケアを描く意義 https://realsound.jp/book/2026/02/post-2315085.html#goog_rewarded

-犬塚理人『サンクチュアリ』レビュー → 「ハヤカワミステリマガジン」4月号

-世界文学の古典『嵐が丘』は、未だに野性のままであるーーひかれあいながら反発する二人の激情 https://realsound.jp/book/2026/02/post-2317983.html#goog_rewarded

-『進撃の巨人』にも通じる閉塞感ーー時代小説とディストピアが交錯する『ちょんまげ手まり歌』 https://realsound.jp/book/2026/02/post-2319367.html

-若林踏 × 朝宮運河が語る、ミステリとホラーの関係史「互いの領域を侵食しながら拡大してきた」(取材・構成) https://realsound.jp/book/2026/03/post-2315090.html

-魔女エルファバはどんな子ども時代を過ごしたのか? 『ウィキッド 永遠の約束』原作を読む https://realsound.jp/book/2026/03/post-2325216.html

-『BUTTER』が英国で大ヒット なぜ日本の小説が世界でウケる(コメント) → 「週刊女性」3月24・31日合併号

-稲田豊史に聞くAI時代の読書事情「読書好きの『閉じっぷり』が、読まない人との断絶を生んでいる」 https://realsound.jp/book/2026/03/post-2329581.html(取材・構成)

-https://realsound.jp/book/2026/03/post-2334716.html https://realsound.jp/book/2026/03/post-2334716.html

-「安部公房の10冊」 → 本の雑誌編集部編『この作家この10冊 3』

-明治の「煩悶青年」は、現代の「クネクネ」のルーツであるーー『「いまどきの若者」の150年史』を読む https://realsound.jp/book/2026/03/post-2341510.html

-「アフタートーク 著者×編集者」第24回

『探偵小石は恋しない』森バジル(作家)×中村僚(小学館)×室越美央(小学館)(聞き手・構成) → 「ジャーロ」No.105

-『ばけばけ』小泉八雲がとらえた「大和魂」とは? 晩年の集大成『神国日本』が現代に示すもの https://realsound.jp/book/2026/03/post-2347961.html

-『十角館の殺人』の衝撃再び Huluオリジナル『時計館の殺人』が描く、異形の館の惨劇 https://realsound.jp/movie/2026/03/post-2345273.html

八犬伝講談

八犬伝薫風講談会

 宝井馬琴の講談本『里見八犬伝』の古書を探していたものの見つからず、「八犬伝」、「講談」で検索するうちに現在やられている講談がヒットした。それで昨年6月、浦安から館山へ行き、南房総三龍亭のこの八犬伝講談会を見たのだった。

 その後、松林伯知さん、神田山兎さんの八犬伝を聞き(神田紅佳さんの八犬伝も行こうとしたが、同時出演が神田伯山氏だったりしてチケットとれず)、発作的に神田山緑さんの講談教室で八犬伝を習うようになる。7月半ばからである。あっという間だ。お調子者である。

 半年たった今日はその発表会で「伏姫と八房」のくだりを読んだ。

講談教室発表会

 これで区切りをつけようと思っていたのだけど、教室では次の期にやはり八犬伝の「芳流閣の闘い」をとりあげるという。同作一の名場面だし、ここでやめるわけにはいかぬ。

 

 と振り返ると、南房総三龍亭が始まりだったわけだ。だが、八犬伝の地元であの長大な物語の講談化にとりくんだ三龍亭千公さんが、1月に亡くなられたという。

 実は昨年11月、山梨県立美術館で八犬伝展があった際、南房総三龍亭による八犬伝講談を予約していたのだが、新宿からの高速バスが遅れに遅れて間にあわなかったのだ。残念無念。

www.bungakukan.pref.yamanashi.jp

 

 ご冥福をお祈りします。

 

 

最近の自分の仕事

-『スピン』『GOAT』『アンデル』……安価な文芸誌、創刊相次ぎ大ヒットも 文芸評論家に聞く、版元の狙いとは?(コメント) https://realsound.jp/book/2026/01/post-2272880.html

-村山由佳山田詠美朝井リョウ……2025年に小説家たちが挑んだテーマは? 芥川賞直木賞「受賞作なし」後のトレンドを読む

https://realsound.jp/book/2026/01/post-2274137.html

-太宰治東野圭吾、柚木麻子……日本文学が英米で人気がある理由とは?(鴻巣友季子『なぜ日本文学は英米で人気なのか』書評) https://realsound.jp/book/2026/01/post-2274710.html

-もしも日本が太平洋戦争に勝利していたらーー「ズッコケ三人組」の著者が残した戦争文学(那須正幹『屋根裏の遠い旅』書評) https://realsound.jp/book/2026/01/post-2275956.html

當真あみ主演の注目作 柚木麻子『終点のあの子』が描き出す、若者同士のギクシャクした関係 https://realsound.jp/book/2026/01/post-2284113.html#goog_rewarded

-東野圭吾クスノキの番人』のテーマとは? 家族をめぐる物語の背景にある問題 https://realsound.jp/book/2026/01/post-2291254.html

-〈アフタートーク 著者×担当編集者〉第23回 「全編〝消失ミステリ〟という離れ業! 超絶技巧の短編集 『神の光』北山猛邦(作家)× 金城 颯(東京創元社)」(聞き手・構成) → 「ジャーロ」No.104

『ドラマチック・リーディング 新宿八犬伝 第一巻 犬の誕生』

 22日昼、space早稲田で『ドラマチック・リーディング 新宿八犬伝 第一巻 犬の誕生』を観てきた。

 作・川村毅

 演出・小林七緒(流山児★事務所)

 音楽・諏訪創

https://stage.corich.jp/stage/394529

「ドラマチック・リーディング」と銘打たれていたから、朗読劇を想像していたが、ちょっと違った。確かに役者が、持った台本を読みながら演技したりする。二つのグループが敵味方で左右に分かれ、その間に置かれた衝立に書かれた台本をそれぞれ読みあう場面もある。

 だが、とても読めるとは思えない小さな台本を手にしたり、台本を小道具として使うなど、読まずに演技する時間もかなりある。また、台本を持たないまま動く役者もいる。

 一方、この芝居には、「影の滝沢馬琴」が筆で物語を書いている姿が、たびたび挿入される。つまり、作者と、その人が書く物語のなかにいる登場人物の関係を、書いている「影の滝沢馬琴」と読んでいる登場人物という形で表現したのだろう。「ドラマチック・リーディング」であると同時に“ドラマチック・ライティング”でもある演出なのだなと思った。

「影の滝沢馬琴」が登場するくらいだから、川村毅脚本の『新宿八犬伝』は曲亭馬琴南総里見八犬伝』に着想を得ているわけだが、この芝居では「肉体の忍法」がキーワードになっている。また、勧善懲悪をテーマとした馬琴原作では、八犬士の持つ珠に、仁義礼智忠信孝悌という八つの徳の文字がそれぞれ浮かぶ。それに対し『新宿八犬伝』の珠の文字は、騒乱情痴遊戯性愛という、新宿歌舞伎町を舞台にした話らしい猥雑な意味に置き換えられている。これは、八犬士の子孫が、忠孝悌仁義礼智信の珠を、淫戯乱盗狂惑悦弄の字の偽珠へとすり替えられてしまい、本物を取り戻そうと奮闘する山田風太郎忍法八犬伝』を連想させるではないか。八つの徳を猥雑な悪徳へ反転させる発想や忍法のモチーフが、二作で共通している。さらに、『新宿八犬伝』では、風俗嬢四人とホスト四人が対立しつつ、彼らが八犬士となる。それは『忍法八犬伝』の、くノ一八人衆対八犬士という男女対立図式を受け継いだ設定のように思える。

八犬伝』のアダプテーションとしていろいろひねりがあって、面白かった。

 

 

最近の自分の仕事

-西村賢太の元恋人が語る、芥川賞作家への愛憎「辛さだけ残して逝かれちゃった」 https://realsound.jp/book/2025/11/post-2216980.html

-堺雅人 × 井川遥の切なすぎる“50代の恋愛” 『平場の月』原作小説から読み解く「友だちから」の意味 https://realsound.jp/book/2025/11/post-2217437.html#goog_rewarded

-「ラーメン」は獣に、「瞑想」は神に近づくためのもの――宇野常寛『ラーメンと瞑想』が示す、世界の違う見方 https://realsound.jp/book/2025/11/post-2223233.html

-渋谷陽一さんと私の回覧誌 → 「イコール」10号(橘川幸夫責任編集6号)