ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

2004-10-01から1ヶ月間の記事一覧

島田荘司『龍臥亭幻想 上・下』

M art

読了。雪中に鎧武者が暴れ回る和風幻想と、旧日本軍の肉体縫合研究を組み合わせた島田荘司らしい道具立て、ではある。 そして、口絵およびカバー(というか帯というか)を飾った横尾忠則の絵に、ちょっとびっくりした。上・下巻両方に横尾のシリーズ作品が使…

高原英理『ゴシックハート』

ゴスロリやら球体関節人形やら、暗黒っぽいものの小ブームはあるのだから、こんなゴシック・カルチャー周遊本が登場するのも当然だろう。人外、残酷、身体、猟奇、異形、両性具有、人形、廃墟と終末など、各章ごとにテーマが設定され、作者の好みに応じてい…

歌野晶午『魔王城殺人事件』

M

不可能犯罪が起きて名推理による謎解きで終わる、いかにも本格ミステリらしい本格ミステリを、歌野はあまり書かない。たとえ書いたとしても、パロディ的な形にひねりがちだ。ところが、この作品は講談社の<ミステリーランド>という一種のジュヴナイル企画…

KORN《グレイテスト・ヒッツVOL.1》

マリリン・マンソンもKORNも10年選手で、キャリア総括的なベスト盤が出てしまうんだから、グランジ・ムーヴメントの跡を埋めた90年代的ヘヴィ・ロックがもう歴史になったことを認めざるをえない。MMがそうだったように、KORNのベストでも初回限定盤(ASIN:B0…

『おたく:人格=空間=都市』

これは、同展日本館のコミッショナーをつとめた森川嘉一郎の著書『趣都の誕生 萌える都市アキハバラ』ISBN:4344002873、カタログの形に作り変えたようなものだ。「おたく」という人格が「秋葉原」という都市に実体化していった過程を検証した森川の仕事は、…

マリリン・マンソン《レスト・ウィ・フォーゲット》デラックス・エディション

マリマンのベスト盤なら、やっぱりDVD付のデラックス・エディションでヴィジュアルを楽しまないと。僕としては、カラスみたいな黒い羽根背負って歌う〈ロック・イズ・デッド〉がお気に入り。宝塚好きだった身としては、羽根背負ってるだけで萌える。アーシア…

金原瑞人『大人になれないまま成熟するために』

大人になれないまま成熟するために―前略。「ぼく」としか言えないオジさんたちへ (新書y)作者: 金原瑞人出版社/メーカー: 洋泉社発売日: 2004/10メディア: 新書 クリック: 5回この商品を含むブログ (22件) を見る金原ひとみのパパによる新書。娘は『蛇にピア…

試写会

昨日、村上春樹原作、市川準監督の映画『トニー滝谷』の試写会に行った。来年の正月第二弾用と公開はずいぶん先なので、感想はもっと時期が近づいてからアップすることにする。それにしても、舞台挨拶に訪れた宮沢りえは、きれいで可愛かった。ほんとに、き…

『サウンド・オブ・ミュージック』、ビョーク

ブロードウェイ版『サウンド・オブ・ミュージック』の来日公演が来年1月に行われることを、最近になって知った。ちょっと気になっている。 僕はこれの映画版がけっこう好きで、何度か見直しているのだ。一回ぐらいは、ミュージカル版の生の舞台を観てみたい…

鳥飼否宇『太陽と戦慄』

キング・クリムゾンの代表曲の1つ〈太陽と戦慄partII〉は、大雑把にいってアグレッシヴなギター・リフが耳に残るヘヴィ・メタル的な部分と、ヴァイオリン中心のメロディアスな部分とからできている。そして、映画『エマニエル夫人』サントラ盤には、〈太陽〜…

sonarsound tokyo 2004

昨日、恵比寿ザ・ガーデンホール/ルームで開催された「sonarsound tokyo 2004」の2日目を見に行った。電子音楽のフェスティヴァルだが、「ELECTRAGLIDE」や「WIRE」みたいなダンス寄りの内容ではなく、エレクトロニカ主体のイヴェント。本来は今回の東京版…

「Comic新現実」に「悪魔のようなあいつ」、栗本薫

大塚英志プロデュース「Comic新現実」Vol.1、購入。とりあえず、旧作の再録「悪魔のようなあいつ」(阿久悠作・上村一夫画)をはじめて読む。掲載ページ冒頭にある解説では触れられていないが、この話のTV版が、ある意味でやおい、ボーイズ・ラヴの源流なの…

渋谷陽一と大塚英志

YA

前記、日本語版〈War & Peace〉の詩の朗唱には、ミスチル桜井、よしもとばなな、藤原帰一も加わっていた。いかにも筑紫哲也好みのラインナップである。と同時に、藤原と坂本は雑誌「SIGHT」で非戦をテーマに対談していたし、ばななはロッキング・オンから本…

NEWS23のHuman Audio Sponge

CHASMアーティスト: 坂本龍一出版社/メーカー: ワーナーミュージックジャパン発売日: 2004/02/25メディア: CD購入: 1人 クリック: 34回この商品を含むブログ (83件) を見る昨夜の「筑紫哲也NEWS23」は、番組15周年ということで坂本龍一が出演していた。冒頭…

津田大介『だれが「音楽」を殺すのか?』

レコード輸入権、CCCD、違法コピー、ファイル交換、音楽配信など、音楽著作権にかかわる問題を解説した注目の本。コンピュータがらみの技術や法律など、とかくややこしくなりがちなテーマを、一冊のなかでわかりやすく解説した好著である。著作権にかんする…

初期JAPANと今年のデヴィッド・シルヴィアン

ボーナス・トラックやPV映像(CDエクストラ)を加えて、初期JAPANの3枚が最近、再発売された。これまで、なぜかアナログから買い換えていないままだったデビュー作《果てしなき反抗》を、ようやくCDで購入。初期の美点を再確認した。 グラム・ロック的にグリ…