ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

2016-01-01から1年間の記事一覧

ガブリエル=シュザンヌ・ド・ヴィルヌーヴ『オリジナル版 美女と野獣』

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美女と野獣[オリジナル版]作者: ガブリエル=シュザンヌ・ド・ヴィルヌーヴ,藤原真実出版社/メーカー: 白水社発売日: 2016/12/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る 『美女と野獣』の歴史的にポピュラーなヴァージョンといえばボーモン夫人版…

『君の名は。』の口噛み酒と真実の愛のキス

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ディズニーアニメに代表されるように、主人公たちが危機的状況に陥るが、真実の愛のキスによって奇跡が起きるという物語の定番がある。死から蘇るというのが奇跡の典型であり、それはキスが息を吹き込む=命を吹き込むことを暗示する象徴的な行為だからだろ…

『シン・ゴジラ』とスクラップ&ビルド

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『シン・ゴジラ』では、映画の終わり近くに「この国はスクラップ&ビルドでのし上がってきた」というセリフが出てくる。あのセリフは感慨深かった。昨年夏に刊行した『戦後サブカル年代記 日本人が愛した「終末」と「再生」』で「ゴジラ」シリーズにも言及し…

『君の名は。』と村上春樹

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離れている2人が超常的なシンクロ現象をみせ、世界の危機にかかわる――という大枠は、村上春樹が得意としたものでもあった。また、『君の名は。』では、少女の口噛み酒を少年が呑むことで奇跡を招き寄せるが、その種の少女の聖性という発想は、村上『1Q8…

『君の名は。』と『シン・ゴジラ』

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昨日、ようやく、『君の名は。』を観てきた。『シン・ゴジラ』と同じ年に公開された同作。『シン・ゴジラ』が東日本大震災&原発事故をあからさまに意識した映画だったのと同様に、『君の名は。』も「災後」を意識した映画だった。 いずれも後半では、危機回…

「BABYMETAL楽曲の魅力を語ろう‐WORLD TOUR FINAL AT TOKYODOME version‐」

10月3日のB&Bのイベントに出演しますDEATH! 2016/10/03 Mon 小中千昭×円堂都司昭 「BABYMETAL楽曲の魅力を語ろう‐WORLD TOUR FINAL AT TOKYODOME version‐」 『BABYMETAL試論』(アールズ出版)刊行記念 時間 20:00〜22:00(19:30開場) 入場料 1,500…

転居しました!!

同じ浦安市内ですが、8月27日に引っ越しました。郵便や宅配便などをお送りいただく場合は、旧住所ではなく新住所の方へ、よろしくお願いします。 最近自分が書いたもの 芦沢央『許されようとは思いません』の書評 → 「ハヤカワミステリマガジン」9月号 井上…

SUMMER SONIC 2016

自分が観たもの 20日 水曜日のカンパネラ〜THE STRUTS〜ゲスの極み乙女。〜星野源〜LiSA〜PANIC AT THE DISCO〜PENTATONIX〜和楽器バンド(冒頭のみ)〜上原ひろみ×熊谷和徳 21日 ミオヤマザキ〜ゴールデンボンバー〜POP ETC〜[Alexandros]〜TWO DOOR CINEMA…

病院とフードコート

先日、親が手術するので病院に行ったら、PHSを渡され、しばらく別室で待っていると「手術が終わりました」と連絡をくれる仕組みだった。フードコートの待ち時間用に、注文の品ができあがったことを知らせる端末を渡される、あの感じだ。 であるならば、病院…

壁、イギリスのEU離脱

ピンク・フロイドは1979年に『ザ・ウォール』を発表し、ライヴ中のステージにパフォーマーと観客を隔てる壁を築き、最後にそれを崩すという大がかりな演出を行った。米ソの東西冷戦構造の最中であり、ベルリンの壁が崩れることなど想像できなかった時代のこ…

オバマの広島訪問と水俣病公式確認60年

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来日したオバマ大統領が本日夕、被爆地・広島を訪問する。 また、今年は水俣病が公式に確認されてから60年にあたる。 原爆や原発の放射能、水俣病に代表される公害・環境汚染が、日本の戦後の“危機”をめぐるイメージにどのような影響を与えたか、それらにつ…

三島賞

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ハスミンのボンジュール重彦の会見。 「蓮實重彦」なる物語の表層で戯れ続ける凡庸さでお話させていただきます、て感じか。 そこに嫌味はあっても事件や不意打ちはなく。 伯爵夫人作者: 蓮實重彦出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2016/06/22メディア: 単行本…

デヴィッド・ボウイとマイルス・デイヴィス

まだCDが存在しなかった1970年代。金銭的余裕のない中学生だった私は、市立図書館のレコードをよく借りた。 NHKで『ヒーローズ』発表時のデヴィッド・ボウイの来日公演を観て衝撃を受けた際には『アラジン・セイン』を借り、FM放送でマイルス・デイヴィス「…

『ズートピア』と『動物農場』

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ジョージ・オーウェル『動物農場』は、平等になったはずの動物たちが支配層と被支配層へと分化が強化されていく話だった(そのヴァリエーションであるピンク・フロイド『アニマルズ』も支配/被支配の話)。 一方、『ズートピア』は、平等なはずの場所で種々…

ピクシーズで10曲

「ピクシーズのベスト・ソング TOP10」を英The Guardianが発表 http://amass.jp/71526/ 私のお気に入りを10曲選んでみる。 Bone Machine Gigantic Where Is My Mind Debaser Wave Of Mutilation Monkey Goes To Heaven Cecilia Ann Velouria Trompe Le Monde…

試し弾き

昨夜の「タモリ倶楽部」で楽器店での試し弾きランキングをやっていた。私の場合、昔、キーボードのコーナーに行ってよく弾いていたのは以下のもの(といっても、演奏能力はほとんどないんですけど)。 1.マイク・オールドフィールド“チューブラー・ベルズ…

エアロスミスの10曲

「エアロスミスのベスト・ソング TOP10」を英The Guardianが発表 http://amass.jp/70343/ 私も選んでみた。ベストではなく、フェイヴァリットってことで。 “Dream On”『Aerosmith』 “Toys in the Attic”『Toys in the Attic』 “You See Me Crying”『 Toys in…

EL&Pと『エンタメ小説進化論』

キース・エマーソンが亡くなった。 http://amass.jp/70168/ 私は本を出すたびに、その原稿を書いていた時にどんな音楽をよく聴いていたかをあとがきに記してきた。毎回、自分でテーマ曲、サウンドトラックを設定したうえで、本にとり組んでいるからだ。 『エ…

あれから5年

浦安市の液状化など、3.11における私の個人的見聞に関しては、『ディズニーの隣の風景』、『エンタメ小説進化論』に記した。また、敗戦時の焼け野原から東日本大震災&福島原発事故に至るまで、日本人が繰り返しみてきた終末的ヴィジョンについては、『…

坂本九とSMAP

最近自分が書いたもの 男装アイドル・風男塾がシーンで異彩 "2.5次元的存在”はアイドル界の常識を変える?http://realsound.jp/2016/02/post-6299.html 宮内悠介『アメリカ最後の実験』、宇野維正『1998年の宇多田ヒカル』の書評 → 「小説宝石」3月号 3…

私を構成する9枚

QUEEN『QUEEN II』 PINK FLOYD『DARK SIDE OF THE MOON』 KING CRIMSON『LARKS’ TONGUES IN ASPIC』 ROXY MUSIC『FOR YOUR PLEASURE』 DAVID BOWIE『STAGE』 GARY NUMAN『PLEASURE PRINCIPLE』 SIOUXSIE & THE BANSHEES『JUJU』 YMO『テクノデリック』 筋肉…

検索型ミステリとグーグル的探偵像

YC M

小保方晴子が今さら手記『あの日』を発表した。彼女の論文のコピペ問題については、ネット上でいろいろ検証作業が行われた。同様の事態は、佐野研二郎の東京五輪エンブレム問題でも繰り返された。多数のネット民が、“捜査”(あら捜し)、“推理”(邪推)、“想…

アマゾンのレビューとか

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戦後サブカル年代記 -日本人が愛した「終末」と「再生」-作者: 円堂都司昭出版社/メーカー: 青土社発売日: 2015/08/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (14件) を見る 『戦後サブカル年代記 日本人が愛した「終末」と「再生」』に関して、Amazonのレビ…

円堂都司昭 × 山本昭宏 [「終末」と「核」から考える日本文化]

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2016年1月26日にゲンロンカフェにおいて山本昭宏氏と[「終末」と「核」から考える日本文化──『戦後サブカル年代記』と『核と日本人』をめぐって]と題した対談を行います。 私が『戦後サブカル年代記 日本人が愛した「終末」と「再生」』を執筆中に山本氏の『…

『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』

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最近自分が書いたもの サブカルチャー季評(今回とりあげたのは『スター・ウォーズ』シリーズ) → 1月16日付「読売新聞」夕刊 上記原稿に書かなかったこと。 今度の新作『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』は、「スター・ウォーズ」サーガが、アナキン・ス…

デヴィッド・ボウイ

デヴィッド・ボウイが、1月10日にガンのため亡くなった。 1992年にボウイが、グラム・ロック時代の盟友ミック・ロンソンとともにフレディ・マーキュリー追悼コンサートに出演したことを思い出す。当時、ロンソンはガン闘病中だと明かされており、フレ…

宝塚月組『ベルサイユのばら オスカルとアンドレ編』

昨夜、録画したままになっていた宝塚月組『ベルサイユのばら オスカルとアンドレ編』(2013年上演)を視聴した。龍真咲のオスカル、明日海りおのベルナール、花組から客演の蘭寿とむのアンドレといったキャストである。 基本的に、マリー・アントワネット本…

2016年

これまで7冊の単著を出した。2013年には『エンタメ小説進化論』、『ディズニーの隣の風景』、『ソーシャル化する音楽』と3冊立て続けに刊行したし、昨年の『戦後サブカル年代記 日本人が愛した「終末」と「再生」』は400字詰め換算600枚で過去最長の内容だっ…