今回の松本人志の件で、ダウンタウンがいじめの芸を一般化したとか、その前にとんねるずがとかいう人がいる。でも、太郎冠者や与太郎など、間抜けな人間を笑うパターンは旧くからあるわけで、昔から笑いの多くを揶揄、嘲りなどいじめ的な要素が占めてきたのは確かだろう。
で、思い出すのは、昔、谷村新司「セイ!ヤング」(文化放送のラジオ番組)で「天才・秀才・バカ」という投稿コーナーがあって、要するに三者の発言を三段オチにして、「バカ」で笑わせるものだった。愚かな太郎冠者や与太郎を笑う流れである。
それに対し、萩本欽一は「欽ドン!」で「良い子悪い子普通の子」として「普通の子」をオチに使ったのが、今思えば象徴的だった。萩本はテレビで素人いじりを広めた一人だし、「普通」の人を笑いの対象にすることを一般化したタレントだった。彼は、素人に「笑い」というコミュニケーションツールの使い方を教えたと同時に、他人を「笑い」の道具にする楽しみを教えたのでもあった。
最近の自分の仕事
-作詞家・森雪之丞、自選詩集に込められた“詩人”の一面 高橋幸宏、布袋寅泰らとの出会いと50年の歩み(取材・構成)https://realsound.jp/2024/01/post-1546613.html