novel

古市憲寿と島田雅彦

古市憲寿の初小説『平成くん、さようなら』を読んだら結末に、時代の技術水準が違うゆえの差はあるけれど、島田雅彦『天国が降ってくる』に通じる発想がみられた。 考えてみれば、サヨク/青二才/ヒコクミンを偽悪的に自身や登場人物のキャラにしていた初期…

下井葉子「あなたについて わたしについて」

芥川賞候補作のノンフィクション流用問題で思い出したのが、同じく群像新人文学賞を1987年に受賞し、「群像」の同年6月号に掲載された下井葉子「あなたについて わたしについて」。浦安市の図書館になかったのだが、気になったので千葉市の図書館で借り出し…

『東京自叙伝』と石原慎太郎、安倍晋三

ユリイカ 2016年5月号 特集=石原慎太郎作者: 石原慎太郎,森元孝,栗原裕一郎,豊崎由美,瀬戸内寂聴,田原総一郎出版社/メーカー: 青土社発売日: 2016/04/27メディア: ムックこの商品を含むブログ (1件) を見る 同号掲載の様々な論考のなかで面白かったのは、石…

ディストピア小説と天皇制

カタストロフ・マニア作者: 島田雅彦出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2017/05/31メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 島田雅彦『カタストロフ・マニア』。本を読み終わってから、PVが作られていたことを知った。 https://www.youtube.com/watch?v=…

リセット、希望

「希望の塾」なる政治塾を開いていた小池百合子が「希望の党」を立ち上げた。小池は、新党の命名理由に関し「日本にはさまざまなものがあふれているけれども、希望がちょっと足りないんじゃないですか?」と語ったが、それについて村上龍のパクリではないか…

共同通信文化部編『書評大全』

書評大全作者: 共同通信文化部出版社/メーカー: 三省堂発売日: 2015/03/28メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 1998年3月から2014年3月までに共同通信で配信された書評(約5,000本、評者約1,600人)をまとめた共同通信文…

桐野夏生『冒険の国』

冒険の国 (新潮文庫)作者: 桐野夏生出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2005/09/28メディア: 文庫 クリック: 3回この商品を含むブログ (45件) を見る 桐野夏生が1988年にすばる文学賞に応募し、最終候補に残ったものの受賞に至らなかった作品を加筆・修正し、20…

東浩紀『セカイからもっと近くに 現実から切り離された文学の諸問題』刊行記念対談

セカイからもっと近くに (現実から切り離された文学の諸問題) (キー・ライブラリー)作者: 東浩紀出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2013/12/12メディア: 単行本この商品を含むブログ (16件) を見る 新井素子、法月綸太郎、押井守、小松左京を論じた東浩紀…

いとうせいこう『想像ラジオ』

想像ラジオ作者: いとうせいこう出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2013/03/02メディア: ハードカバー クリック: 4回この商品を含むブログ (88件) を見る 異界との交信、聞き分ける耳、鋭敏な感覚を持つ子ども、魂の居場所としての樹木、核時代の想像力…

「小説現代」8月号でブルース、ユーミン、『ラバー・ソウル』

小説現代 2013年 08月号 [雑誌]出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/07/22メディア: 雑誌この商品を含むブログ (2件) を見る 「小説現代」8月号をめくると、五木寛之&北方謙三対談ではブルースについて語られ、連載に関しても酒井順子のエッセイがユーミン…

宮内悠介「かぎ括弧のようなもの」

事件報道における「バールのようなもの」という表現にモヤモヤしている人は大勢いるようだが、「読楽」8月号には、宮内悠介の「かぎ括弧のようなもの」という小説が掲載されている。拙著『エンタメ小説進化論 “今”が読める作品案内』で論じた宮内の第一作品…

海道龍一郎×伊東潤「歴史小説はロックだ!」

読楽 2013年 08月号 [雑誌]出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2013/07/22メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見る 「読楽」8月号に、海道龍一郎と伊東潤の対談「歴史小説はロックだ!」が載っている。その記事は、ストーリーテリング、ジグソーパズ…

『エンタメ小説進化論』をめぐるあれこれ

『エンタメ小説進化論』では『何者』で直木賞を受賞した朝井リョウの『少女は卒業しない』も論じた。同書所収「四拍子をもう一度」では軽音部のヴィジュアル系エアバンドが出番前に化粧道具・衣裳・音源を奪われ…。『ソーシャル化する音楽』の観点からも面白…

円堂都司昭『エンタメ小説進化論 "今"が読める作品案内』

エンタメ小説進化論 “今”が読める作品案内作者: 円堂都司昭出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/01/24メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (14件) を見る 目次 はじめに――本書の「むちゃぶり」ルール <ガジェット GADGET> ●“今”を共有…

『ENDING ENDLESS 音楽本雑録』

7月17日に電書部(部長・米光一成)主催で開かれる電書フリマにおいて、『ENDING ENDLESS 音楽本雑録』なるものを出品します。 電書フリマとは、電子書籍のフリーマーケットのこと。当日の詳細についてはこちらをどうぞ。 http://densho.in/ 僕も18時以後、…

PISTOLSとPISTILS

最近自分が書いたもの 「花の香りに幻惑されて」(阿部和重『ピストルズ』書評) →「rockin’on」6月号 阿部和重の『ピストルズ』はPISTOLS(銃)ではなく、PISTILS(雌しべ)のこと(というかダブル・ミーニングだが)。 このタイトルから、セックス・ピスト…

阿部和重『ピストルズ』と大江健三郎『M/Tと森のフシギの物語』

ある地域を主題にしたサーガを書いている点で、阿部和重(舞台は山形県の神町)は、大江健三郎(四国の森)を意識している。 阿部の新作『ピストルズ』は、次のような前提で話される物語になっている。 すべてをお話しするとなると、何度か、ご足労いただく…

ライトノベルとグループサウンズ

「文蔵」4月号届く。冲方丁のインタビューあり。 ライトノベル作家が一般文芸を書くと、“卒業”扱いされてしまうのが現状ですから(笑)。 この冲方発言でなんとなく思い出したのが、真木ひでと。60年代後半にグループサウンズのオックスで活躍し、解散後し…

「本が好き!」最終号

http://www.kobunsha.com/shelf/magazine/current?seriesid=104003 PR誌としては意欲的で読み応えのあった「本が好き!」(光文社)の最終号が届いた。僕と同誌の関係は、残念ながら、08年に有栖川有栖のインタヴューを担当した1回だけだった。 今回の…

未熟の浮上――中島梓/栗本薫の登場した七〇年代

明日のコミケで発売される探偵小説研究会の同人誌「CRITICA」第4号の第二特集[「幻影城」の時代]に、 「未熟の浮上――中島梓/栗本薫の登場した七〇年代」 ――を寄稿した。 (同人誌の内容・販売に関する詳しい情報 → http://www.geocities.co.jp/tant…

村上春樹『1Q84』とクイーン

『村上春樹「1Q84」をどう読むか』では越川芳明など数名が、エルサレム賞授賞式での春樹のスピーチに言及していた。春樹が、イスラエルで「壁と卵」の話をした例のアレだ。たとえ、彼がどう考えていたにせよ、実際イスラエルに行きスピーチしたこと自体、政…

大石直紀「階上の女」

(「小説宝石8月号」) 同号で官能小説特集をやっていて、大御所3人の旧作が再録されている。 宇能鴻一郎「花くらべ」 川上宗薫「女の魔性」 富島健夫「おさななじみ」 もう、みんな、いかにもな題名である。 で、やっぱり宇能先生は引用したくなってしまう…

萩原朔太郎『猫町』、「イクスピアリ・ニンテンドーDSガイド」

(「文蔵」5月号) http://www.php.co.jp/bunzo/ 石原千秋が「文蔵」で、「この名作を知っていますか 近代小説の愉しみ」というエッセイを連載している。最新号に掲載された第七回は、「逆さまから見る世界〜萩原朔太郎『猫町』」。萩原の同作を出発点にし…

「本人」、ひろゆき / 平野啓一郎『決壊』

「本人」のリニューアル第1号の巻末には、「編集部一同」名義で「第二期『本人』始動にあたって」と題した所信表明が掲載されていた(同誌のスーパーバイザーは松尾スズキ、編集長は北尾修一)。そこには、こう記されている。 そして、同時に、今回のリニュ…

「コンテンツ・メディア業界の1998年問題」、e-NOVELS

昨夜は、夜のプロトコル・アカデミー:講座01回「コンテンツ・メディア業界の1998年問題」(津田大介×いしたにまさき×速水健朗)を見に行った。 http://www.yorutoko.com/2009/02/post-6c34.html 新聞、雑誌、音楽CD、TVゲームなどの市場のピークが97〜98年…

「リバイバル・ブームを読む!」

(「文蔵」3月号) http://www.php.co.jp/bunzo/ 上記特集で、出版科学研究所の綾部二美代は、リバイバル・ブームはまだ続くと語っている。 というのも、ここ十年で著作権の保護期間が終わる有名作家が多くいるためです。ですから各出版社は、様々な体裁を…

伊坂幸太郎の「ゆうびん小説」

「小説推理」4月号asin:B001S9JSPKをめくっていたら、59ページにこんな告知が。 伊坂幸太郎さんがまったく新しい方法で、小説を発信します。 その名も『ゆうびん小説』! ご応募いただいた方には抽選で、伊坂さんが現在執筆中の連作小説『バイバイ、ブラッ…

「うらやすニュース」休刊

渡辺淳一先生が選考委員を務める浦安文学賞の主催で知られるタウン紙「うらやすニュース」が今朝届いた。今月号で休刊との告知が……。残念。 影山栄子・浦安ニュース社代表取締役は、同紙の歩みをふり返り、こう記している。 気力と体力には自信があり、ここ…

明日は「早稲田文学」10時間連続公開シンポ

(“評論”レヴュー/“レヴュー”評論 5) 19日に行われる「早稲田文学」主催の10時間連続公開シンポジウムを、自分も見物しに行くつもり。 【プログラム】(予定) 10:30-12:15 ポッド1「文芸メディアの現在――批評的メディアはどうありうるか」パネリスト:東…

801とエィンジェル

フィル・マンザネラ/801 801といっても「やおい」のことではない。ロキシー・ミュージックのギタリスト、フィル・マンザネラがやっていた別プロジェクトのこと。最近、紙ジャケ化された801のうち、70年代ものを購入した。 ライヴ+ボーナスCD(紙…