(「小説すばる」3月号)
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明日発売の最新号に関しては、佐々木俊尚のノンフィクション「電子書籍キンドルが壊すもの創るもの」の連載スタートが話題になっている。
だが、もう一つ面白いのは、「物語から就活を学べ!」という特集が組まれていること。そのなかで「人事担当者は、こんな本を読んできた!」という各社採用責任者36人へのアンケート結果が掲載されている。登場する各社とは――
TOTO、アサヒビール、オリンパス、カゴメ、キユーピー、コーセー、テレビ朝日、ワタミ、マツダ、ミズノ、紀伊國屋書店、京セラ、江崎グリコ、講談社、小学館、新日本石油、新潮社、日本アイ・ビー・エム、文藝春秋、味の素、明治製菓、朝日新聞社、NTTコミュニケーションズ、ヤクルト、丸紅、WOWOW、集英社など
食品メーカーが高村薫『レディ・ジョーカー』asin:4620105791、建設企業が池井戸潤『鉄の骨』asin:4062158329を上げていたら面白いな〜などと意地悪なことを考えてしまったが、もちろんそんな回答はないのであった。「最近読んだ本で面白かったものは?」「就職活動中の学生に勧めたい本」という問いに対し、司馬遼太郎『坂の上の雲』『竜馬がゆく』という回答が多いあたり、いかにも企業の人っぽい。
そうした中で面白かったのは、ライブドアが「就職活動中の学生に勧めたい本」として福沢諭吉『心訓七則』を上げていたこと。同社のこれまでを考えると、なかなか味わいのある答である。また、毎日新聞社の人事採用者が「あなたが就職活動中に読んで励まされた一冊」として新井素子『星へ行く船』を上げているのも時代を思わせて感慨深い。
この特集は、就活に意識が向いている学生こそが読むべきだが、そうした層に読まれていないのがこの種の小説誌だとも思える。批評好きの学生とかだって純文系の雑誌はめくっても、エンタメ系小説誌はあまり気にしてないでしょ?
だから、紹介してみた。大学生協とかで多めに仕入れてPOP立てて売ったらどうかね。