ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

《MASH-UP RADIO HIP HOP VS. ROCK》

http://info.hmv.co.jp/p/a/000000000331/450-f1.html
HMVにて、DJ MUGGS & DJ WARRIOR《MASH−UP RADIO HIP HOP VS.ROCK》VOLUME1、2を購入した。タイトル通り、ロックの曲をバック・トラックとして鳴らし、ヒップホップから抜き出したラップを乗せるのが基本線。
2枚で40あまりの「VS」を収録しているが、一番楽しめたのは、フランツ・フェルディナンドVSビースティ・ボーイズか。どちらも単体でコミカルな印象だから、組み合わさるとおかしさも二乗ってとこ。そのほか、レッド・ツェッペリン〈オール・マイ・ラヴ〉(とNAS)、ニルヴァーナ〈レイク・オブ・ファイア〉(と50CENT)など、リズミカルといえない曲を使ったものに、意外性を狙う心意気を感じた。
でも、ランDMCとの共演で有名なエアロスミス〈ウォーク・ディス・ウェイ〉(とLLクールJ)、ドラゴン・アッシュも使ったジョーン・ジェット「アーイラァヴロォケンロー」(とノートリアスB.I.G.)あたりは、ネタとして古典的だし、なにを今さら……な感があった。


なかなか、音楽シーンを刷新するほどのムーヴメントが起こってくれないから、イケナイこととは思いつつ、ついマッシュ・アップみたいなゲテものを面白がってしまう。でも、上記CDのほか、ネット上にゴロゴロ転がっているマッシュ・アップを聞き漁るうち、すぐに萎えてきた。
ガンズ&ローゼズ〈パラダイス・シティ〉VSビートルズ〈サージェント・ペパー〉、クイーン〈ウィ・ウィル・ロック・ユー〉VSスクエアプッシャーとか、いくつか気に入ったものは確かにあった。
でも、前述のエアロやジョーン・ジェットのほか、ナック〈マイ・シャローナ〉、ツェッペリン〈胸いっぱいの愛を〉、デヴィッド・ボウイ〈レッツ・ダンス〉などなど、ヒップホップとロックの融合がまだ新奇だった80年代後半〜90年代初頭によく使われたネタが、未だに定番として残っており見かける頻度も高い。当然、それらと組み合わせるものは新しめからチョイスしているにしても、どうもネタ選びが保守的なのではないか? みんなによく知られた曲を改変するから面白い――ってことは理解できるけれど、ヒップホップ/サンプリングのネタとしてまだ手垢にまみれていないポピュラーな曲が、もっといろいろあるはずだ。マッシュ・アップなんてイリーガルな領域だから、現状の攪乱・愉快犯てなイメージを持ちがちだけど、これじゃむしろ伝統主義に近い。意外に、冒険的でない。
あと、サンプリングという場合、“主”たる曲があり、そこに“従”である別音源を取り込むわけだが、マッシュ・アップは曲と曲を主従でなく、同等に混ぜる点に難しさと妙味があるはず。でも、何曲もマッシュ・アップを聞いていると、コード感との合致を気にする必要のないラップを取り込む行為が、だんだん安直に感じられてくるのも事実(ビートルズVSビースティーズ集を聞いて、そう思った。キャラが立ってる同士で、しかも組み合わせやすい−−というお手軽感が鼻につく)。
だからこそ、ニルヴァーナスメルズ・ライク・ティーン・スピリット〉のバンド演奏に、マイケル・ジャクソン〈ビリー・ジーン〉の“歌”をのせる大技などをみつけたりすると、喜んじゃったりする。
自分は、過去の(/あるいは昔ながらのスタイルを継承した)ポップ・ミュージックも“クラシック”、“伝統芸能”として楽しむけれど、現在進行形の領域については、やっぱり先鋭性や意外性といったプラスαを求めたい。


かつて、ツェッペリンカシミール〉をベッタリ流してラップしたパフ・ダディ&ジミー・ペイジ〈カム・ウィズ・ミー〉(米国版『ゴジラ』主題歌。98年)ってのがあったけれど、今時のマッシュ・アップはあそこからどこまで進んだというのだろう。
Godzilla: The Album (1998 Film)

  • 20日夜の献立
    • マーボー豆腐(市販レトルト・ソースに、ニンニク、豆板醤、ラー油を足した)
    • もやしをチン(ポン酢)
    • ポテチ(のり塩
    • 雑酒&チューハイ
  • 21日夜の献立
    • 塩鮭
    • ほうれん草のおひたし+コーン(かつぶし、しょうゆ)
    • にら、長ネギ、卵の味噌汁
    • 白米ごはん
    • 雑酒&チューハイ