「ブリコラージュ(器用仕事)」といったら、80年代にはレヴィ=ストロース関連のニューアカ用語だったはず。でも、今、坂本龍一がこの単語を持ち出すと、なにやらスローフードとかリサイクルとかと似たような、ロハスな流れの言葉に聞こえるのが、なんというか……。
久しぶりにポップのフォーマットに寄っていた《CHASM》(2004年)のリミックス集。リミキサーとして、小山田圭吾(コーネリアス)、フェネス、スティーヴ・ジャンセン、細野晴臣など旧知の人が多く参加したその内容は、全般的にポップのフォーマットを誇張するのでなく、崩す方向へ行っている。
《CHASM》発表からロック・バンド形式のツアーへ――という昨年までの坂本は、躍動的だった反面、フォーマットに次第に縛られていった印象もなくはなかった。だから、今回の《Bricolages》で、ツアー・メンバーたちがフォーマットを崩して/坂本がフォーマットを崩させて遊ぶのは、よくわかるような。
個人的には、《CHASM》よりもこちらのほうが風通しよく聞こえて、楽しめる。
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20050727#p1)