パンク30周年の今年、スージー・スーがアルバムを発表した。もとはセックス・ピストルズの親衛隊にいた女である。スージー&ザ・バンシーズも、デビュー時にはパンク色が強かった。この新作でもギターがワイルドに鳴る曲はある。でも、全体を通して聞くと、やっぱりパンクというよりゴスの人なのだった(肉体的リアリティよりも雰囲気重視という意味で)。
バンシーズでもなく、バッジーとのユニット=クリーチャーズの形でもなく、彼女がソロとしてアルバムを作るのは初めて。当然、バンシーズのバンド・サウンドや、クリーチャーズにおけるリズムの強調とは、力点が異なっている。
ストリングス、ホーン、エスニックなアレンジなどで雰囲気をはっきりさせた、ある種映画音楽的、ミュージカル的な曲が聞きどころである。ここでは、パンク、インダストリアルの要素は、アクセントをつける役目にとどまっている。あの凄いメイクに表れている通り、もともと芝居がかった歌いかたのほうが似合う人だから、こうした路線を選んだのは正解だろう。以前、ソロ名義でオーケストラを使い、旧作の数々を歌ったライヴDVDが出ていたが、あの時の感覚の延長線上で本作は作られたようだ。予想以上の力作になっていて嬉しい。
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20060607#p1)
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