ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

マイケル・ジャクソンとネズミ

ベンのテーマミッキーマウス クラブハウス
マイケル・ジャクソンの追悼関連記事がいろいろ出たが、特に面白く読んだのは「中央公論」(9月号)など複数媒体で書いていた速水健朗の考察。ディズニーとマイケルの関係、“イッツ・ア・スモール・ワールド”が“ウィ・アー・ザ・ワールド”に与えた影響に関する記述などが興味深かった。
僕はFMで放送していた映画音楽の番組を聞くことから音楽ファンになった人間なので、マイケル・ジャクソンで初めて聞いた曲は“ベンのテーマ”だった。これは、ネズミが人間を襲う映画『ウィラード』の続編『ベン』の主題歌。劇中で唯一、ネズミと心を通わせられる子どもの視点に立った詞を少年マイケルが歌っていたのだった。
だから、速水の考察を読むとマイケルとネズミの関係について、ベンからミッキーマウスのディズニーへ――という変遷を妄想してしまう。
ただ、ベンもミッキーマウスも日本人にとっては「ネズミ」でひとくくりだが、米国では前者がRAT(大型のドブネズミ)、後者がMOUSE(小型の家ネズミ)で明確に区別されるらしい。
ということを踏まえると、「ラットへの共感→マウスへの共感」という図式のシフトと、肌の「黒→白」という変化で、なにか並行性を読みこみたくなってしまう。昔は「ドブネズミみたいに美しくなりたい」と思っていたが後半生は……みたいな。いくらなんでも、ここまでの深読みはやりすぎだとは思うが。
そういえば、かつてのラッツ&スター(=RATS&STAR=ドブネズミたちと星。デビュー時のバンド名はシャネルズ)は、黄色人種の日本人がわざわざ顔を黒く塗り、黒人音楽への憧れを表現したわけだが、鈴木雅之とかはマイケルの顔色の変化をどう感じてたんだろう? どこかにコメントしていただろうか。気になる。

  • 最近自分が書いたもの