先日、宝塚スカイステージで放映されたフェルゼン編を録画で見た。
今年は、宝塚大劇場で「オスカル編」を観劇してきた。しかし、マリー・アントワネットの登場しないその脚色はフランス革命に至る歴史のダイナミズムを表現しきれておらず、凰希かなめのオスカルは美しかったものの、不満が残る出来だった。
一方、「フェルゼン編」のほうは、フェルゼン(壮一帆)、アントワネット(愛加あゆ)、オスカル(早霧せいな)、アンドレ(未涼亜希)、ベルナールなど各人の立場がよく理解できる流れになっているから、ちゃんとドラマチックに感じられた。やはり、王室、貴族、軍人、市民、それぞれの立場と葛藤が描かれてこその「ベルばら」だ。フェルゼンとアントワネットの国を超えた道ならぬ恋、男装の麗人オスカルとアンドレの愛も、背景の歴史が描かれてこそ活きる。
宝塚の2時間半の公演時間では「ベルばら」の大河物語全体を一挙に語ることはできない。だから、複数のヴァージョンで補完しあう形になったともいえるが、オスカル、アンドレ、アントワネット、フェルゼンの主要4人のエピソードをきちんと盛り込んだ脚色で、歌舞伎のような昼夜通しの長時間上演で見てみたい気もする。この人気演目なら、そんな大胆な興行も可能だと思うのだけれど。
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