アニメ版『進撃の巨人』第1〜4話を見直していて、ふと思った。なんだか、『ベルサイユのばら』を裏返したような話だと。
二作の舞台はいずれも階層社会であり、外憂を抱えているだけでなく、国の内部に多くの矛盾がある。
『進撃の巨人』において訓練兵団の若者たちに摩擦が生じる展開は、『ベルばら』における近衛隊での内輪もめを思い出させる。なぜなら、前者ではエレンをミカサが、後者ではスカルをアンドレが――という形で、いずれも異性が中心人物の守護役として行動するから。
とはいえ、2作品では男女の配置が逆転しているだけでなく、アンドレがオスカルに優しい包容力を示すのに対し、ミカサはエレンに厳しく当たる。このへんは、少女マンガと少年マンガの違い以上に、1970年代と現在のジェンダー表現の差を感じる。
また、オスカルが近衛隊長として国の中心である王室の近くを仕事場としたのに対し、エレンは内地で王の元の憲兵団に配属されることも可能だったのに、調査兵団を志願し戦いの最前線に出ていく。この点も対象的だ。
『進撃の巨人』の作者が『ベルばら』を意識したとは思わないが、二作品の対照は、戦いのドラマの作られかたという意味でいろいろ興味深い。
(ただし、『進撃の巨人』にはマリー・アントワネットに相当するポジションが見当たらないので、宝塚でいうと『ベルばら』複数ヴァージョンのなかでもアントワネットが登場しない「オスカル編」の裏返しということになる。私の発作的な見立てでは)
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