ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

「アエラ・イン・ロック」

鏡姉妹の飛ぶ教室』では、ギターを抱えて殴る蹴る少女、金井妙子ちゃんが僕のお気に入りだった。特に、レニー・クラヴィッツ〈Are You Gonna Go My Way〉のリフを弾いて現れる150ページがかっちょよかった。その妙子ちゃんは、ジョニー・ウィンターのファンであって、周囲からジョニー大倉しか知らない、ジョニー・マーしか知らない、なんて言われてしまう。ジョニー・ウィンターがどれだけ場違いかというと、朝日新聞社が唐突に発売したムック「AERA in ROCK 再びの、ロック。」の名ギター・コーナーで、ファイアーバード(妙子ちゃんが抱えてるギターの種類)の代表的プレイヤーとしてジョニー・ウィンターが紹介されているくらいだ。「AERA」という中高年向け雑誌の増刊で、当たり前のごとく名前が出てくるほど、妙子ちゃんの音楽嗜好はおっさん趣味だっつうこと。
それにしても、「AERA in ROCK」の内容は、不思議。メインの記事がレッド・ツェッペリンとクイーンなのは、70年代にリスナーだった世代をメイン・ターゲットにしたということだろう。ところが、ジャニスの60年代に始まり、ラフ・トレード回顧で80年代に触れ、アラン・マッギーの記事では90年代のUKシーンにまで踏み込んでいる。ムック全体としては、時代の幅が妙に広いし、どういう年齢の読者層を想定したのか想像しきれない。よく知られたアーティストの記事がぽこんぽこんとある一方、レーベル回顧なんかはマニアックな人しか興味を持たないだろうし、どの深度のロック・ファンを読者に期待したんだろう?
例えば、ロック誕生50周年を振り返るヒストリー本にして、その影響力を考えてビートルズをメインに客観性を装ってまとめていたら、もっと“らしい”総合的な仕上がりになっていただろう(ビートズ原稿は載っているが扱いは小さい)。でなければ、現在の時点から過去のロックを振り返り、距離を測る作りにするか(というのが、現在進行中で定期刊行しているロック雑誌が回顧的特集をやる時の普通のやり方)。
ところが、「AERA in ROCK」は懐かしく蘇った思い出を、そのままアトランダムに並べたみたいな(たまたま成立した企画原稿だけを並べたみたい――ともいう)目次なのであった。この感覚、なにかに近いなと思っていたら、ちばテレビ東京MXテレビなんかでCMをやっているのをたまに見かける、“懐かしのポップス大全集”とかに近いと気づいた。
よくあるでしょ、レーベルを越えてオリジナル音源を集めましたとかいって、通信販売用に制作した何枚組かのCDセット。確かにレーベルはまたがっているけれど、やはり抜けが少なくなくて、ベタな選曲のなかにマイナーな曲がいきなり混じっていたりする。それで、全体のバランスがとりきれず、年代順に曲を振り分けたのに、80年代中頃を集めたディスク3に1曲だけ80年代後半の曲が入っていて、後の時代に育った人には気にならない差異なのに、ずぶずぶにリアルタイムに聞いていた者には微妙に居心地悪い曲順になったりしているあのパターン。そういう、通信販売限定セット商品的な、大雑把な歴史把握に近いものが、「AERA in ROCK」の全体像には漂っている。
これは、決して批判ではない。なんというか、通販セットを購入する類の“把握欲”というのが、確かにあるのだ。客観的歴史把握と個人的思い出の中間程度の網羅性を望む“把握欲”を、僕だって抱えている。だから「AERA in ROCK」も、それなりに楽しくめくりましたよ。ただ、惜しまれるのは、「AERA」本誌名物のあの脱力コピーが、ムックにはついていなかったことだ。
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/00000609

  • 21日夜の献立
    • 鳥むね肉のしょうが焼き(おろししょうが&ニンニク、しょうゆ、きび砂糖、酒につけておいた鳥に胡椒しつつ、スライスした玉ねぎと油で焼く)
    • ひじきとほうれん草のサラダ(ひじき、あぶらげ、にんじん、大豆を普通に煮付けて、ゆでたほうれん草と混ぜ、ポン酢をたらす。ついでに白ごま)
    • ひじきとおからの炒め煮(上記ひじきの煮つけにおからを足したもの)
    • レタスとミニトマトのサラダ(きざんだらっきょ+ポン酢)
    • 大根の葉っぱとわかめと長ネギの味噌汁
    • 玄米に白ごま――かなりヘルシーなラインナップである。
  • 22日夜の献立
    • おからコロッケ(上記ひじきとおからの炒め煮に、塩こしょうで炒めた豚ひき肉を加えたもの)
    • ほうれん草のおひたし(上記らっきょソース+じゃこ&かつぶしトッピング)
    • 大根の味噌汁
    • 玄米
    • 発泡酒
  • 今夜の献立
    • さばの塩焼き
    • こんにゃく(もらいもの)の味噌田楽
    • 水菜とミニトマト(にんにく、じゃこ、干しえびを焦がしたゴマ油をジュッとかけ、ポン酢……にしても毎日ポン酢使ってるなぁ)
    • ニラ玉の汁(和風だしにしょうゆ)
    • 大根の漬物(ビール酵母使用)
    • 白米2:玄米1のごはん
    • はっさく(書き忘れていたが、ここ数週間、ほぼ毎日夕食後にはっさくを食べている)

報道ステーション」が、ライブドアによるニッポン放送株取得問題を取り上げた際、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの〈ゲリラ・ラジオ〉ASIN:B00004VT9Kていた。こった選曲をするもんだ。意味がズレてる気はするけれど……。