ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

「BET」vol.0 創刊準備号

文学フリマで買った同人誌 2)

発行人は、ばるぼら。「X−MAGAZINE」、「Jam」、「HEAVEN」の全冊レビューを行った自販機本特集のほか、羽良多平吉のインタビュー、吉祥寺マイナー特集が掲載されている。

とんでもなくディープな内容だ。
編集後記には、こう書かれている。

「昔は良かった」と爺婆が語る伝説や、一部の人達にだけ独占されている知識・価値観の正体を暴いて、誰もが共有できるものにしてしまう、時には幻想を剥ぎ取ってしまう、消費しにくいものを消費しやすい形に変えてしまう、そういった行為が自分の役割だと思う。

自分がやろうとしているのは、興奮のあとに訪れる空虚な感覚の再現かもしれない。

なるほど。自販機本ってのは、サブカル方面ではありがちなネタともいえるわけだが、どうも「BET」の誌面が、他の雑誌における同種特集とは違う“冷ややかさ”を持っているのは、そういうことだからか。
ばるぼらといえば、『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』の人。“教科書”というのは、好き嫌いにかかわらず全国に行き渡る“知識”、一般国民が知っておくべきことになっている一般的“価値観”を詰め込んだ本を指す。考えてみれば、これほどの情報陳腐化はない。つまり、“教科書”には載らない情報を“教科書”なみに陳腐化してやるぜ――というのが、ばるぼらのスタンス。だから、『ウェブアニメーション大百科ASIN:4798110515“大百科”にも、“教科書”と同様に情報陳腐化のニュアンスが与えられていたのだろうな。
さっき、僕は思わず、「とんでもなくディープな内容だ」と書いてしまったが、ばるぼらは、これまでディープに見えてきたものを、浅く見えるようにしてやろうというわけだ。なんと、性格の悪い(笑)。まあ、その性格の悪さこそ、面白さの源泉ともいえるが。
「BET」は、来年初頭に正式な創刊号が出る予定だって。期待大。
教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書

  • 15日夜の献立
    • ぶり大根
    • レタス、ミニトマト、海藻のサラダ(ポン酢)
    • にらと玉子の味噌汁
    • おから、ひじきの炒めもの(豆味噌)
    • 玄米ごはん
    • 発泡酒雑酒、チューハイ