ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

『THE・仲直り!復活!筋肉少女帯』

2006年12月28日東京中野サンプラザ筋肉少女帯の復活ライヴ。
90年代の筋少メンバーが再結集したところに、80年代メンバーだった三柴理がサポートに加わった編成である。太田明が不参加だったため、ドラムは斗羅陰陽座)が務めているが、バンドに溶け込んでよいプレイを聞かせていると思う。
死んだ男が帰ってくるという詞の〈トゥルー・ロマンス〉を1曲目に持ってきたのは、大槻ケンヂなりの復活のご挨拶だろう(「ラブ・ゾンビ」という言葉をリフレインするこの曲は、《ステーシーの美術》収録のオリジナル・ヴァージョンでは、綾辻行人もコーラスに加わっていた)。
復活ライヴ全体の選曲をみると、橘高文彦本城聡章がメンバーになった《猫のテブクロ》以降のアルバムからは、すべてチョイスされている。残りはファーストの曲だから、つまり、セカンド以外からは選曲されているということ。
「問うならば?」を連発するオーケンのグダグダなMCとヌンチャク・ソロ、橘高のフライングV振り回し&ピックばらまき、〈踊るダメ人間〉での吊るされた人形などなど、筋少のライヴでのお約束をひと通り再現しているのが楽しい。オーケン痛風になってしまったから、かつて恒例だった一気呑みだけはやっていないけれど(笑)。
基本的に、昔の曲を昔の感覚で演奏しているわけだが、三柴の参加がところどころいいスパイスになっている。物語仕立ての曲が多い筋少は、オーケンが長々と語りを入れる“ロック講談”を得意パターンの一つにしている。このDVDでも〈僕の宗教へようこそ〉でそれをやっているが、発表当時は在籍していなかった三柴のピアノ即興が加わることで、また違った印象(早くいえばアングラ)になっているのが面白い。三柴在籍時代の“ロック講談”の傑作〈いくぢなし〉に、ちょっと近いテイストも感じた。そのほか、三柴のキーボードと橘高のメタル・ギターのソロ合戦が、やはり聞きどころになっている。


ちなみに、〈モーレツア太郎〉のイントロとして、三柴が弾いているピアノ曲〈黎明〉は、長寿の料理バラエティ番組『チューボーですよ!』のエンディングで毎回流れている曲ですね。
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20060801#p1