以前、『WE WILL ROCK YOU』というタイトルでヴィデオ化されていた81年のライヴが、曲を追加してDVD、CDになった。
ちょうど、〈愛という名の欲望〉、〈地獄へ道づれ〉、《THE GAME》がアメリカで1位になった時期である。そういう意味での勢いは演奏に出ている。
ただし、クイーンがライヴ・バンドとして過渡期に入っていたのも事実。このすぐ前にリリースされた《LIVE KILLERS》は、4人組ライヴ・バンドとしての集大成だった。だが、《THE GAME》以降、クイーンはそれまで使わなかったシンセを導入し、サウンド・スタイルが変化した。その結果、4人だけでライヴ演奏するのは、きつい曲も増えた(以前からきつかったが、それが決定的になったともいえる)。
旧版より音質が向上した今回の音源を聞くと、〈プレイ・ザ・ゲーム〉や、CD版に追加収録された〈ザ・ヒーロー〉などは、サポートのキーボードを加えた《HOT SPACE》ツアー以降に比べると、音が痩せていてちょっとさびしい。《THE GAME》以後の曲をライヴで披露するには、やはり5人いたほうが、と思わせる。
でも、そうすべきところを、まだ4人でしゃかりきに頑張ってなんとかしようとしている。今回のDVD、CDは、その点がむしろ面白いともいえる。
DVD版に関しては、タイトルが『ROCK MONTREAL & LIVE AID』となっており、ライヴ・エイド出演関連の映像が付いている。確かに、ライヴ・エイドのリハーサル風景などを見られるのは楽しい。楽しいけれど、81年と85年という離れた時期のライヴを抱き合わせたことには疑問を感じる。
ふり返れば、《HOT SPACE》ツアーのDVD『ON FIRE LIVE AT THE BOWL』は、ボーナス・ディスクに同時期の日本公演、TV出演などを集めていた。今回のDVDだって、同様の編集方針をとればよかっただろうに、と考えてしまう。
ライヴ・エイド出演は《THE WORKS》ツアーの番外編のような時期、内容だった。だから、ライヴ・エイドの映像は、『LIVE IN RIO』、『WE ARE THE CHAMPIONS − FINAL LIVE IN JAPAN』といった同じ85年の映像と組み合わせたほうが、1つの作品、商品としてまとまりが出たと思うのだ。
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20071117#p2)