この国の首都名と、物騒で前世紀的な響きもある言葉を組みあわせ「東京事変」をバンド名にした。そのアルバムは『教育』、『大人(アダルト)』、『娯楽(バラエティ)』、『スポーツ』、『大発見』(ディスカバリー)とテレビ番組のカテゴリー/チャンネルをなぞって名づけられ、バンドの終止符を打ったミニアルバム『color bars』のタイトルは、放送終了後の画面を表す言葉だった。
東京事変までの椎名林檎は、日本、歴史、テレビといった範疇に対し、それらを洒落にするといった距離感があった。
一方、NHKサッカー放送のテーマ曲として作られた林檎“NIPPON”は、パロディではなく、ベタに日本やテレビに寄り添う内容だった。諧謔味が薄い。だから、居心地の悪さを覚える。
むしろ、東京事変『スポーツ』から選んだほうが、林檎らしいテーマ曲になったかもしれない。同作には、“勝ち戦”、“FOUL”、“雨天決行”、“FAIR”など、スポーツっぽい曲名が並んでいた。そして、W杯で日本チームが1次リーグ最下位で惨敗した今、流すなら、“シーズンサヨナラ”だろう。
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