ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

重松清『カモナマイハウス』

最近の自分の仕事

-重松清が考える、空き家問題と定年後のオヤジの生き方「自分を見ていても、アップデートできていない部分がいっぱいある」(取材・構成)https://realsound.jp/book/2023/09/post-1427466.html

 新刊『カモナマイハウス』に関する上記インタビューを担当した。私は今年、父の死後に要介護老人ホームで過ごしていた母が亡くなり、空き家状態になっていた実家を処分したので、介護ロスや空き家ビジネスを題材にした同作には、いろいろ感じるものがあった。

 

 重松清『カモナマイハウス』には、「持続可能なオヤジをつくる」というフレーズが登場する。そういえば、松田青子『持続可能な魂の利用』(2020年)には、この国から「おじさん」が消えることで、女性たちの「魂」が「持続可能」になる幻想の未来が描かれていた。二作をあわせ読むと、この国の「おじさん」的なるものが立体的に浮かび上がる気も。

 

 あと、ネタバレになるからなぜそう考えたか書けないのだけれど、『御伽の国のみくる』という小説を書いたモモコグミカンパニーが『カモナマイハウス』を読んだらどう感じるのだろう? と思った。両作には比較的近い属性を持つ人物が登場するし、彼らをアラ還世代、若い世代それぞれの書き手の視点からとらえたような部分がある。この対比も個人的に興味深かった。