私もそうだが、ジャニーズ事務所の性加害の件で、栗本薫『真夜中の天使』を思い出した人がけっこういるようだ。1970年代に執筆された同作のように、ひょっとすると芸能界はそういうところなのではないか、という半信半疑の想像は、それ以前から世間にあったと思う。
この小説は、沢田研二主演ドラマ『悪魔のようなあいつ』を、栗本が繰り返し二次創作しているうちに元の話から離れていったものだという。私は、1982年に文庫化されてすぐの頃に読んだけれど、今でいうBL小説に触れるのは初めてだったし、インパクトはあった。当時、すでに竹宮恵子、萩尾望都などの少年愛ものの少女マンガは読んでいたものの、小説ならではのエグイ描写もあったから。
ただ今回、久しぶりに「マヨテン」を思い出したけれど、主人公・今西良の愛称が「ジョニー」だったことは、すっかり忘れていた。よりによって「ジョニー」なのか……。
おまけの雑記
「SFマガジン」10月号の「特集 SFをつくる新しい力」。10~20代SF読者アンケートの「好きなSF作家」上位30人には、星新一、筒井康隆は入っていても小松左京は入っていない。わかる気がする。
ミュージカル『ムーラン・ルージュ』。ストーンズの“悪魔を憐れむ歌”、“無情の世界”、“ギミー・シェルター”を混ぜあわせた場面など典型的だが、洋楽有名曲の小刻みなパッチワークが、音楽面での面白さの1つになっている。でも、日本語版の歌詞は原曲の抑揚、聴き心地の快さを減じていると思う。もう少し言葉を選んで詞を練れなかったものか。
ミュージカル『ファントム』で容姿が醜いゆえに虐げられた主人公が、詩人ウィリアム・ブレイクを「心の代弁者」と呼ぶのは、大江健三郎が『新しい人よ眼ざめよ』など障害を持つ息子を主題にした連作でブレイクを頻繁に引くのと通ずる。両者ともブレイク『無垢の歌』を引用している。
最近の自分の仕事