ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

ロック・イン・ジャパン・フェス2004

というわけで、昨日まで3日間、ひたち海浜公園に通ったのだった。

  • 6日
    • GO!GO!7188(全部見た)――女性ヴォーカルの節回しの面白さに耳を奪われがちだが、3ピースの面白さを濃縮した演奏をする人たちである。
    • 森山直太朗(一部分だけ見た)――テントで見ていた客が、シャボン玉を吹いていた。気持ちはわかる。まだ8月はじめなのに、「夏のおーわーりー」って裏声で歌うんだもの。おセンチな気分になります。
    • タイラーメン――酢や辛子など最終的な味の調整は客自身がやる方式だから自己責任といわれりゃそれまでだが、にしてもベースの味が薄すぎ。
    • パキスタンカレーライス――辛くもなければコクもない。
    • ポリシックス(全部)――「ひたちなか オア ダイ!」のかけ声でスタートした相変わらずのテクノパンク。これまでのメンバー交代が成功だったことを確認。4人揃って演奏するステージでの絵面が、初期よりずっとパワーアップしている。
    • 氣志團(全部)――コスチュームプレイ、あるいは、80年代パロディ、あるいは振り付け系、あるいは、決めポーズ系ということでポリからはしご。単純に笑って楽しむ。しかし、ダンサーを交えてのあの踊りはどういう感覚だろう? スクールメイツ&ジャニーズ&竹の子族&ロックンローラー族&80年代女性アイドル歌手、みたいな。妙にむずがゆい振り付けだ。(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20040610
    • DJブース TEAM紅卍(松尾スズキ河井克夫)(部分)――DJというより着ぐるみを着た寸劇でした。
    • THE HIGH-LOWS(前半)――結局、甲本ヒロト真島昌利のコンビが、幾多の青春パンクのルーツなのだった。今、ノアの箱舟が建造されて一組だけ青春パンクを連れて行かなければならないとするなら、やっぱりこの二人が選抜されなければならない。……といいつつ、前半だけで移動。このフェスのパンフにポリシックスに関する短文を書いたこともあって、ハヤシのDJが気になったのである。
    • DJブース ハヤシヒロユキ(後半)――すかんち、CCB、イモ欽トリオと80年代ネタ連発。Xジャパンのライヴの形態模写を繰り返しやったりなんかした後、ミスチルかけて大合唱。これでは、DJブースというより歌声喫茶である。その最中に花火が打ち上げられた。こんなことで一日のフィナーレを迎えていいのか、自分に疑問を持たなくもなかったが、相変わらず大笑いできる芸風でした。ポリのライヴもものすごーくよかったし、この日のMVPは文句なしにハヤシであった。
  • 7日
    • (番外編)水戸駅構内の天ぷらそば――立ち喰いそばの平均値を考えても、麺のコシのなさは犯罪的である。
    • 一青窈(全部)――歌の節回しや本人のキャラクターなど、面白い要素はある人だと思う。だから、シングル以外でも本人の色を活かした曲がもっとあればなぁ、と(これは森山直太朗でも感じたこと)。
    • ACIDMAN(全部)――まだ荒削りな部分はあるが、カッコいい。勢いがある。曲調に意外とバラエティがあるわりにとっ散らかった印象にならず、あくまでも、ただのロックバンドに聞こえるってのがいい。芯がしっかりしてるってことだから。
    • ライムスター(後半)――グラスステージからレイクステージに急いで移動したら〈肉体関係〉に間に合った。よかったよかった聞きたかったんだよ。「正常位!」「正常位!」「I LIKE IT!」「後背位!」「後背位!」「I LIKE IT!」……。どいつもこいつも大馬鹿である。いやらしい言葉を大声で言いたがっている人間がいかに大勢いるか、確認させてもらった。もちろん、自分も叫んだ。「騎乗位!」「騎乗位!」「I LIKE IT!」

肉体関係 part2 逆featuring クレイジーケンバンド

    • 山口智充(全部)――スクリーンに「飛び入り」と出たので、誰だろう? となんとなくスタンディング・ゾーンに人が集ってきていたが、「山口智充DonDokoDon)」の名前がバーンと映された瞬間、みんな前方に走り出した。それほどのもんかよ、と思いつつ、もちろん僕も前方に走った。一曲歌ったあと、あの打ち上げ花火の口真似をする顔が大画面に映ったのが笑えた。サプライズとしては、いい人選だった。みんなの声援暖かかったし。
    • KREVA(スクリーンで観戦)――マミーDや女性シンガーをゲストに迎えてのライヴ。ややブツ切れ気味の進行で全体の流れは滑らかではなかったが、ソロとしてのやる気は示せたのでは。
    • さぬきうどん(おぼろ昆布のせ)――温かい汁のこのメニューを頼む客は少ないらしく、店員があわてていたのが面白かった。ごく普通のうどんなのに微妙に違う感じ。なぜなら七味ではなく黒コショウがかかっていたから。意外にあうのね、この組み合わせ。
    • 台湾屋台のアジアンライス――肉団子、ランチョンミート、なぜか赤ウインナー、竹の子、タマネギ、ニンニクの芽をしょっぱ辛く味付けしたやつをごはんにトッピング。今回、僕は食い物は500円のものしか食わなかったが、最もヴォリュームがあったのがこれ。学食で出したらうけると思う。
    • ASIAN KUNG-FU GENERATION(スクリーン)――初期のシングルを初めて聞いた時、もっと華奢な印象があったのだけれど、いつの間にか意外と(ルックスを裏切ってという意味)骨太な音になっていた。音楽をやることが本人たちにとっても「今」一番楽しいバンド、って印象だったのは、今回、彼らとACIDMANだった。
    • ドラゴンアッシュ(全部)――このフェス5回連続出場の彼ら。〈ファンタジスタ〉の後、「みんなの声が重たく感じた時もあったけど、それがあったからやってこれた」とKjは語った。そんなMCが出てくるほど、微妙にシリアスな空気はあった。同じフェスに連続で出るということは、その年その年のバンドの立ち位置が前年との比較で見えやすく出てしまうことでもある。その意味で、連続出場には残酷なところもある。そのMCの後、〈静かな日々の階段を〉で見せたKjの穏やかな表情が印象に残った。
  • 8日
    • 地元のトマト――果肉が詰まっていて美味しゅうございました。
    • 那珂湊魚市場名物穴子丼――今回の食べ物のヒット。穴子も温かい酢飯もふっくらしていて旨い。浦安の中央図書館近くにうなぎを穴子みたいに硬く焼く店がありやがるが、これは逆に穴子をうなぎみたいにふっくらと蒸している。甘めのタレと飯の酢のバランスがいい。
    • フェス事業部兵庫慎司の開会宣言――興奮気味である。ふだんに比べて滑舌が、いま一つ(笑)。お疲れさん。
    • GOING UNDER GROUND(スクリーン)――シンセやコーラスに清涼感があるし、ミディアムテンポの曲にも疾走感がある。朝一番にふさわしいバンドでした。
    • 椿屋四重奏(スクリーン)――サウンドチェックでイエモンや安全地帯を歌っていた、歌謡ロックなバンド。僕の後ろに座っていた女の子は、「四重奏なのになんで三人組なの?」ともっともな疑問を発していた。
    • 下妻物語 黒(地ビール)――コクがあって旨い。
    • エレファントカシマシ(全部)――宮本がもっと速くしろとドラムに指示する場面が繰り返された。たぶんこれは、物理的なテンポだけの問題ではない。客の反応の面からも、微妙にしっくりしないと宮本は思ったのではないか。あえて新曲を多くやったせいでそうなったわけだが、ナツメロを並べて変にしっくりくるよりいい。新人バンドみたいに、客との齟齬を確かめ、それを糧に先に進むことが今の彼らには必要なんだろう。
    • 台湾担々麺――酸味が強く、いわゆる担々麺の味ではなかった。
    • 梅酒サワー――このフェスに毎回出場する梅専門屋台。茶漬けとかジュースとかあるが、梅酒関係が絶品。梅味が濃いのだ。ウメッシュなんてもんじゃないのだ。
    • スピッツ(全部)――パブリック・イメージに応えつつ、意外に「野郎」っぽいバンド演奏がいかす。スピッツってこうだっけ? と思うくらい、ベースの音が太いのがいい。吉川晃司〈モニカ〉のカヴァーを聞けたことにお得感を覚えた(しかし、今回のフェスは80年代ネタばかり聞いた気がするなー。自分がそういうのにばっか、引き寄せられてるせいもあるだろうけど)。
    • DJブース 田中知之ファンタスティック・プラスティック・マシーン)(部分)――演芸的でないDJらしいDJの技をようやく聞けた。ブラーやニルヴァーナの使い方がかっちょよかった。
    • ガーナカレーライス――黒人のオバチャンがよそってるから本場っぽく見えたが、期待はずれ。具は肉一切れにブロッコリー一切れ。ライスも少ない。値段は500円で同じなのに、分量は隣の屋台で食べたアジアンライスの半分程度。しかも、どこがガーナっぽいのか全然わからない半端な欧風。最低である。
    • カルビ丼――韓国風の味付けとはいえない。しかし、炊きたてご飯に肉が大量にのっていたので、まぁ満足する。
    • 奥田民生(音だけ全部聞く)――常連組なのに、ドラゴンアッシュエレカシみたいに、その年ごとの立ち位置の変化がうかがえない不思議な人。聞いていて、とても安心します。
    • 岡村靖幸(前半)――驚くかもしんないけど、踊るんだよ、今でも。しかも、ダンサーと一緒に。

で、東京スカパラダイスオーケストラを遠くに聞きつつ、早めに帰路についたのであった。ああ、スカパラは祝祭にピッタリだよなと後ろ髪ひかれつつ、なにしろ、遠いからさ。