ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

コミケ

必要があって、東京ビッグサイトで開催中のコミケ3日目に行った。ただでさえ人が多いのに、雨降りで衣服が湿っぽいせいだろう、館内まで妙に蒸していて気持ち悪い。そんな高湿度のなか、画面から汁気がこぼれそうなエロ同人誌を売っていたりもするわけだから、げんなりする。予約していた東浩紀責任編集『美少女ゲームの臨界点 波状言論臨時増刊号』+特典本『はかぎくす!!』を受け取り、モスコミューン出版部「KLUSTER」1、2号を買ったくらいで、早々と退却する。
考えてみれば、コミケって、変なイベントである。コスプレがいるといっても、全体の割合からすればほんのわずかにすぎない(べつに男が女装してもいいけど、すね毛剃れよ! まったく)。基本的には、長いテーブルをいっぱい並べて、その上に同人誌積んで売るだけの地味ぃな催しなのだ。なのに、人がいっぱい群れ集う。
60年代末には、机や長いテーブル、教卓なんかを積み重ねてバリケード封鎖に使う風習があったそうな。ところが、そんな学生運動の波が引いて間もなく、70年代半ばから始まったコミケでは、テーブルを横に並べたわけだ。どちらも祝祭気分を味わいたいがための文化祭まがいのイベントだという点は共通しているが、「たて積み」にして立てこもっての対話拒否から、「横並べ」にしての対面販売へという変化に、ユース・カルチャーの気質変化を読み取れたりするのかも。


最近書いたもの → 我孫子武丸著『人形はライブハウスで推理する』の文庫解説 人形はライブハウスで推理する (講談社文庫)