ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

テープス・エン・テープス LIVE

昨夜、代官山UNITにてテープス・エン・テープスを見た。このライヴで特筆されるのは、客はヴィデオカメラの持ち込みを許され、バンドが指定した曲では1曲フルに撮影してもOKだったこと。そして、ネットにその動画をアップすることが奨励されている。なるほど、“全米ブロガーが選ぶ人気ナンバー1インディーズ・バンド”らしい営業戦略である。
当然、撮影許可指定曲では、ステージにケータイやヴィデオを向ける人が多くなった。そうなると後方に立つ客は、ステージで演奏する実際のテープス・エン・テープスと、無数のディスプレイに縮小されて映るたくさんのテープス・エン・テープスを、同時に見ることになる。この感覚は、東京ドームにおいて、豆粒大でしかない遠くの実像と巨大スクリーンに引き延ばされた映像を、一緒に見る感覚とは違っている。狭いライヴハウスですぐ目の前に実物がいるというのに、わざわざ小さなケータイ画面を通して見る行為には、巨大スクリーンを見上げる際の“崇める”感覚が欠けている。
コロコロと曲調を変えるテープス・エン・テープスは、音楽的引き出しのあり方に特徴がある。そして、彼らの過去の音楽に対する参照の仕方は、巨大スクリーンの“崇める”感覚よりは、ケータイ画面的なハンドリングのよさを重視するものになっている。まだシロウト臭さを残す彼らの演奏を聞きつつ、00年代のローファイって、こういうことなんだなぁと思ってみたり……。
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20061104#p1