ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

『シャイン・ア・ライト』、ジェフ・ベック

遅くなってしまったが、昨日は日比谷のみゆき座でやっと映画『シャイン・ア・ライト』を見た後、東京国際フォーラムジェフ・ベック公演へ。

マーティン・スコセッシ監督『シャイン・ア・ライト

キース・リチャーズロン・ウッドが向かい合ってギターを弾き始める。あるいは、ミック・ジャガーがコーラスのリサ・フィッシャーの方を見て、彼女から返された視線にミックが笑みを浮かべる――などなど。ステージ上のメンバー同士のアイコンタクト、相互反応の様子を映画は丹念に追っている。また、ミックやキースがステージ前方に歩いていくのを背中側から撮り、彼らの接近を観客が嬉しがる表情の変化をとらえる。その直後、客席の反応に満足げなミック、キースの顔を映す――などなど。
ステージ上でメンバーたちがどのように間合いをはかり演奏しているのか、バンドと観客がどんな風に影響しあうのか。そして、ライヴというものが、いかにして盛り上がっていくのか。それらのメカニズムをここまで手にとるように撮影したライヴ映像は珍しい。臨場感たっぷり。DVDですまさず、映画館の大きなスクリーンで見てよかった。
ゲストのジャック・ホワイト(ホワイト・ストライプス)はよく歌っていたけれど、超大物ミックの脇で緊張したのか、何度か微妙に声がうわずる感じがあった。一方、ミックの方も御大バディ・ガイと並んで歌った時には、60代半ばなのに小僧みたいに見えたのが微笑ましかった。
ザ・ローリング・ストーンズ×マーティン・スコセッシ「シャイン・ア・ライト」O.S.T.

ジェフ・ベック公演

ドラムとベースはよく働いていたし、それぞれ見せ場が与えられていたが、キーボードはあまり存在感なかったな。ジェフ・ベックと多少なりとも演奏でバトルするキーボーディストだったら、もう少し緊張感が出たと思うのだが……。
そのぶん、ジェフ・ベックは大らかに弾きまくっていた印象。で、最近の彼のライヴでハイライトになっているザ・ビートルズ〈ア・デイ・イン・ザ・ライフ〉のカヴァー。原曲のジョン・レノンのパートやオーケストラを導入した部分はともかく、中ほどのポール・マッカートニーのパートは、ギター中心のインスト向きとは思えない。それを強引にアレンジしてあるのが面白い。
また、昨夜の公演を見て、自分は、ファンキーなリズムで弾いている時のベックが一番好きだと再確認した。
ライブ・ベック3~ライブ・アット・ロニー・スコッツ・クラブ

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