ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

FRIPP&ENO《THE EQUATORIAL STARS》

The Equatorial Stars
このコンビ名義では、30年ぶりの新譜。幻に終ったサード・アルバム用の録音にしても79〜80年に行ったそうなので(《THE ESSENTIAL FRIPP&ENO》ASIN:B000000I1K)、そこから数えても25年ぶりである。基本的には、イーノによるアンビエント・ミュージックを背景に、フリップが幽玄なリード・ギター(《LIZARD》収録〈Prince Rupert’s Lament〉以来のフリップ流ギター・ソロの系譜から、カドを取って丸くしたみたいなフレーズ&音色)を奏でるというパターンである。
テープ操作によるループ術を“発見”して2人が嬉々としていたファーストとセカンド、チープなリズムのひたすらな反復の上にサウンドをコラージュした幻のサード(この手法をイーノは、デヴィッド・バーンとのコラボレーション《MY LIFE IN THE BUSH OF GHOSTS》ASIN:B000002MM1)。それら以前の3回の試みが先鋭性を目指したものだったのに対し、歳月を経た今回は、互いの持ち味をよく知る2人がなじみのフィールドで気軽にレコーディングしたといった雰囲気。その意味では、FRIPP&ENOにしては肩のこらないイージー・リスニングになっている。
長年のフリップ・ファンとしては、単純に「美しい」とつぶやいて微笑んだのであった。本当によかった。例の「サウンドスケープ」のシステムでモヤモヤした音を漂わすだけじゃなく、ちゃんとギターを“弾いて”くれていて。フリップのソロ活動は、弾いてるかどうか、当たりはずれがあるから(笑)。