ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

石持浅海『扉は閉ざされたまま』

扉は閉ざされたまま (ノン・ノベル)
密室殺人もの――なのに、タイトル通り最後の最後までドアが開かず、しかも倒叙スタイルだという意欲作。
本格ミステリらしく洋館が舞台――なのに、そこはペンションになっており、しかも成城に立地している。高級と冠がつくにせよ「住宅地」という現実的な場所で展開する点、館ものの様式美とはちょいと違う。
こうして説明文中に、「なのに」「なのに」と書きたくなるひねりぐあいが、本作の特徴だ。犯人の動機の描写はやや弱いものの、それを補って余りある知的興奮が味わえる。
高価な調度品を揃えた建物には、高級住宅地らしくセキュリティシステムが導入されており、このことがクローズドサークルを作り出す。以前、セコムしてるはずの“ミスター”家に泥棒が入り、結局セキュリティを稼動するかどうかは人の判断なんだってことを世間に知らしめる事件があった。本作を読み、ふと、それを思い出した。石持の新作では、登場人物たちによるセキュリティシステムの取り扱い、扉の開閉の判断について、へぇそう来たかという心理的な理由づけをあれこれ用意している。そうした理由づけが石持らしい緻密なロジックで語られ、『扉は閉ざされたまま』状況が宙吊りにされ、なのに犯人をめぐる情勢は微妙に変わっていく――そんな皮肉な様子が面白い。

  • 13日夜の献立
    • 鶏肉に酒、しょうゆ、おろししょうが、すりごま、酒でレンジでチン
    • 赤キャベツの千切り(マヨ&梅しそしょうゆ)
    • いただきものの地鶏生みたて卵
    • 玄米1:白米1のごはん(卵かけごはん、美味しゅうございました)
    • 雑酒&チューハイ
    • ヨーグルトアイス