ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

『白菊』と《SENSUOUS》

白菊 (創元推理文庫)
藤岡真のこのミステリ小説には、『白菊』という謎の絵が登場する。それが魅力的。最初は折れ釘と球がたくさん散らばっているだけとしか見えない画面に、ある角度から光が当たると、白菊が浮き上がる。一種の騙し絵だ。
Sensuous
一方、コーネリアスの《SENSUOUS》は、断片化された音の編集、積み重ねで曲を作っているという意味では、前作《POINT》の発展形。


まず輪郭線を引き、囲われたその中を塗るというのではなく、いくつもの点描によって、一つひとつの点からは想像できない全体像を出現させること。こうした手法において、両者は共通する。
《SENSUOUS》の音楽は、『白菊』の絵のように美しい。