(小説系雑誌つまみ食い 11――「小説推理」1月号)
http://www.futabasha.co.jp/?magazine=suiri
特集「笑える新感覚文藝座談会」と銘打って、『日本文学ふいんき語り』ASIN:4575298611されている。お題は、夏目漱石『坊っちゃん』。これは10月に書店で行われたトーク・ライヴをまとめたもの。笑える。
まず、この古典に対する米光一成の反応がナイス。
トレーニングしてないくせに、燃え尽きちゃってる。
つまり、「坊っちゃん」って燃え尽きたおやじの回想話なんじゃないか。
これらの見方を知ったうえで、座談会序盤における麻野一哉の指摘に戻ってみる。
いちばん驚いたのはね、坊っちゃんが赴任してきて東京に帰るまで、たった一ヶ月ちょっとの話だという。
――『坊っちゃん』が、アヴァンギャルドな作品に思えてくる。
若い無鉄砲な教師がやって来て、騒動を巻き起こしたあげく去っていく。――TVドラマなどで、何度も何度も見せられてきたパターンである。3人の発言を読んでいると、そうしたパターンが飽和状態に陥ったあげく、『坊っちゃん』において解体されたのではないか……と錯覚しそうになる。
もちろん、ジャンルのほうが飽和した云々ではなく、ものの見方の飽和状態を明治期の作品に投げ返せば、こんな倒錯した鑑賞もできますよ、という遊戯なのだけれど。
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20060309#p1)
『坊っちゃん』に関しては、こちらのパスティーシュもなかなか面白い。
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