- 最近自分が書いたもの。
- 「アイドル論の金字塔」(『マブ論』に関するコラム) → 「ROCKIN’ON JAPAN」9月号
上記の原稿でも絶賛したけど、宇多丸の『マブ論』は名著である。
「クイックジャパン」最新号asin:4778311434の宇多丸インタヴューを読むと、彼は「よい子の歌謡曲」asin:4882026236の読者だったという。納得。80年代アイドルに関する言及のしかたやメタ視点へのこだわりなどに影響が感じられる。僕も同誌は愛読していた。
『マブ論』はタイトル通り、ハロプロの盛衰からパフュームのブレイクまでを追ったアイドル論であり、ディスクレヴューと状況論的コラム、小西康陽との対談で構成されている。
・「物語の終焉」というアングル(本書における「物語」とはおおむね、モー娘。のオーディション、メンバー交代をカメラが追っていた「ASAYAN」時代からなっち卒業までのドラマ性を指す)
・[アイドルとしての「萌え」要素と「燃え」要素]などというフレーズ
・グループ内で一つの言葉を文字単位にまで細かくヴォーカル・パートを分割するつんく♂Pへの関心
――こうした論点の設定は、大塚英志の物語消費論〜東浩紀のデータベース消費論のアイドル分野への応用といった側面が本書にあることを示している。実際、大塚の『システムと儀式』asin:4480026339から「アイドルとは《シュミラークル》が生身の実体を持った不幸な存在」というフレーズが引用されてもいるし。思いっきりサブカル体質の本である。
それにしても、宇多丸の文章は面白い。彼の原稿を読みたいために「BRUTUS」asin:B001DJP3BSのJポップ特集も買ってしまった。そして、
日本の音楽シーンには、「おでこにヒモ状のアクセサリーを巻いた(イメージのみ含む)女性ボーカリスト」が台頭する一定の周期というものが、確かに存在する!
「宇多丸師匠が読み解く、今ドキな女子の歌詞。」
というフレーズに爆笑。これはSuperflyに関するコラムの一部であり、もちろんヒモ女のルーツはジャニス・ジョプリン。いいなあ、師匠。
夏場の締切ラッシュがようやく小休止。
最近、ディズニーと浦安に関する本が書きたいとか、ロック論をまとめたいとか、いろいろ考えている(興味のある編集者の方、連絡ください)。もちろん小説論の構想もあるし、土佐有明本(http://d.hatena.ne.jp/ariaketosa/20090630/1210196169)を真似して自分も過去の短文からセレクトして個人誌作って文学フリマで売ってみようか(やれたとしても来年以降だけど)とも思っている。
目先の仕事に追われるだけでなく、中長期的な計画を立てたいというモードなのである。