『デトロイト・メタル・シティ』と『テネイシャスＤ』

伝説的ブルース・マン、ロバート・ジョンソンには、十字路で悪魔に魂を売り渡してブルースの真髄を手に入れたというクロスロード伝説がある。ロックにおける悪魔嗜好も、さかのぼればこの伝説にたどり着く。ロック・アーティストとして成功するため、悪魔のギター・ピックを手に入れようとジャック・ブラックがドタバタする映画『テネイシャスＤ　運命のピックをさがせ！』など、クロスロード伝説のパロディだろう。
でも、考えてみると『デトロイト・メタル・シティ』は、『テネイシャスＤ』の裏返しなのだ。本人の好きなポップでオシャレな音楽をやっても世間に認めてもらえない根岸崇一が、デス・メタル・バンドを無理矢理やらされることでかえって成功してしまう。根岸は、「ヨハネ・クラウザーII世」という悪魔のキャラクターに扮すると、それこそ悪魔に憑依されたかのごとき活躍をする。でも彼自身は、自分が本当にやりたかったのはこれではないと思い続けているのだ。言い換えるなら、悪魔との契約を解除したがっているわけで、ミュージシャンの側から悪魔に魂を売ったというクロスロード伝説の図式とは、ちょうど反対になっている。
だから、伝説の根っこからひっくり返しているという意味では、パロディの質は『テネイシャスＤ』より『デトロイト・メタル・シティ』のほうが深い――気がしないでもない。

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テネイシャスD-運命のピックをさがせ!-

• 最近自分が書いたもの
  • 「YouTubeに見る世界のアムラー　ＡＭＵＲＯは国境を軽々と越え、世界に伝播する」　→　「別冊宝島　音楽誌が書かないＪポップ批評55　安室奈美恵 音楽・人・センス」asin:4796664092

• 22日夜の献立
  • ハンバーグ（オリーブオイル、ハーブ塩、こしょう。ケチャップ、とんかつソース、赤ワイン、マスタード）
  • 野菜炒め（キャベツ、ピーマン、サラダ油、ゴマ油、こしょう、ポン酢、かつぶし）
  • 玉ねぎの味噌汁
  • 玄米ごはん