たまたま目にした @saiculture の興味深いツイート。
高橋しんが「自分の彼女が兵器だったら嫌だな」って思いついて2000年に描いたのが最終兵器彼女ですが、その15年後、僕達は正規空母へ愛の言葉を囁き、駆逐艦へ幼児のように甘えています。
僕達が最終兵器彼女を読んで涙しながら、加賀は正妻空母とか言えるの何でだろうってずっと考えてたけど、高校の時の同級生が言っていた「AV女優を彼女にするのと、彼女がAV女優になるのとじゃ、わけが違うんだよ!」って言葉が全てを解決してくれた。
なるほど。
恋人=日本が兵器にされちゃう…って心配するのと、逆に立派な兵器を家族=日本にしたいと思うのは、反戦と愛国の対比にも似ている。
ふり返れば、1980年代には当時の中曽根康弘首相が「日本列島を不沈空母とする」発言で物議を醸した。あれもある種の正妻空母願望だったといえようか。中曽根の場合、日米同盟において日本が空母となり支援したいってことだったので、日本が米国の正妻になりたいって夢想のほうが強かったけれど。
柴那典は『初音ミクはなぜ世界を変えたのか?』で、ニコニコ動画を中心にした2007年からのをボーカロイドのムーヴメントを「サード・サマー・オブ・ラブ」と呼んだ。
一方、2007年は、防衛庁が防衛省に格上げされ、国のなかでの防衛の位置づけが変わった年でもある。ニコニコ超会議での自衛隊ブース登場などに象徴される、ネットやオタクのカルチャーでの軍事や愛国のポップ化、カジュアル化(“千本桜”などもその一種だろう)に関しても、2007年は一つの節目だったとみなせるかもしれない。
1960年代の最初のサマー・オブ・ラブが、ベトナム戦争をめぐる反戦平和運動、国家体制批判と連動していたのとは、時代の様相がかなり異なる。
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