ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

私はなぜ皿を洗い続けるのか。

もう何年にもわたって「○○聴きつつ皿洗い」とツイートし続けている。「○○」にはその時に使ったBGMが入る。「皿洗い」が「朝の家事」「風呂掃除」になる時もある。
https://twitter.com/endingendless
2011年12月11日にはこんなトークイベントにも出演した(場所は荻窪ベルベットサン)。

「生活考察Presents
わたしの「Music For Dishwashing」
あるいは生活上のさまざまな場面におけるBGM考察」


OPEN18:00 START18:30
CHARGE¥2000(w/1D)


Music For Dishwashing ――それは、皿洗いをする時のバックグラウンド・ミュージックである。
皿洗いに適した音楽とは? なぜLed Zeppelinは良くてThe Whoはダメなのか? 労働と音楽との関係は? 近現代化に伴う変化がBGMに与えた影響とは?人気の評論家&音楽家が、「皿洗い音楽」を起点に、生活と音楽の関係に迫ります。キッチンから転がり出た議論は、放談の嵐を抜け、果たしてどこに辿り着くのか? 稀代のBGM考察トーク、お見逃しなく!


出演:
円堂都司昭(文芸・音楽評論家)
栗原裕一郎(評論家)
蓮沼執太(音楽家


生活考察とは?
「生活と想像力をめぐる雑誌」を標榜し、2010年に創刊。ちょっと脱臼気味のライフスタイル・マガジン、とでも申しましょうか。(編集発行人・辻本力)。

皿洗い音楽の愛好者&実践者として私が熱弁をふるったこの鼎談の抄録は、イベントを主催した「生活考察」の3号に掲載された。


しかし、一方で世間では年々、食器洗い機が普及してきている。以前より安価になり、労力だけでなく水の節約にもなる食洗器を使ったほうが、リーズナブルでしょうが。なのに、まだ手洗いしてるの? ――そんな風にいわれる機会も増えた。
なぜ私は手洗いを続けているのか。書評の比重が大きい仕事柄ゆえ、自室でなにかを読んでいる時間が長い。面白い本ばかりではない。小説新人賞の下読みでは退屈な応募原稿が多くを占める。椅子に長時間座り続けると腰が痛くなるので寝転んで読んだりもするが、退屈だとどんどん眠くなっていく。
そんな時に皿洗いをする。手を動かし、手先が水で冷やされるのが、ちょうどいい眠気覚ましになるのだ。原稿書きにいきづまった時にも気分転換に皿洗いし、手を動かしながら考えごとをする。じっとしているより、そのほうが頭はほぐれる。
というわけで、皿洗いは私の生活のリズムに組みこまれている。仕事効率上昇&精神の安寧に結びつく手作業の皿洗いと、食洗器導入に伴う初期投資&その後のコストダウンを秤にかけた場合、とりあえず前者を選択することが未だに続いている……。


あらためてふり返ると、あのトークイベントから6年近くたつのか。それ以前からやっている家事なのだから、本当に皿を洗い続けてきた半生なのだなぁ(大げさ)。