ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

カレーは飲み物。本も流動体

デブタレがよく「カレーは飲み物」という。
あれと同じ感覚で「雑誌や新聞は流動体。書籍の多くもそう」だと思ってる。
昔、紙パルプの業界誌記者をしていたし、その前には出版社倉庫や古本屋でのバイトもしたから紙や本の流通過程は一通りみた。取次の配送返本、古紙回収、断裁、古紙パルプ・再生紙製造……。
紙の束がドロドロに溶かされてまた紙になる。印刷用紙に生まれ変われるものもあれば段ボールになるものもある。たとえ本が本のまま古本として値段がつけられていたとしても、いつまでも売れ残っていれば古紙扱いで引き取られもする。
古紙問屋のヤードで、自分の原稿の掲載誌が再生紙原料として製紙メーカーへと運び出される風景を見てから、自分は流動体に向けて文章を書いているだなと感じるようになった。
一冊でも多く、長く残っていてくれますように……とは思うけど。