ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

ヴェルヴェット・リヴォルヴァー《コントラバンド》

コントラバンド
レッド・ツェッペリンみたいにグラマラスなヴォーカリゼーションととっつきやすいリフ+ローリング・ストーンズのようにギター2本を中心にしたグルーヴ+セックス・ピストルズ的な荒っぽさと疾走感。
――初期のガンズ・アンド・ローゼズは、そういうもんだった。そして、ガンズ残党のスラッシュ、ダフ・マッケイガンマット・ソーラムが、ヴォーカルにストーン・テンプル・パイロッツのスコット・ウェイランドを迎えたこの新バンドは、実質的なガンズ再編である。昔の曲を思わせるギターの音色やリフ、リズム・パターンが、ためらいなくバンバン出てくる。また、バックのサウンドがガンズっぽいせいもあるだろうが、スコットの歌いかたが意外とアクセル・ローズに近い(もちろんあんな稀有な声は出せないが)。
で、アルバムを聞きPVを見た感想は、「成熟したガンズが全力疾走してる」。僕は無邪気に楽しめたけど、オリジナル・ガンズに思い入れてる人は素直にほめないかも。
昔のガンズに比べると、ストーンズ成分が少なくなり、グルーヴがややパンク寄りになった。ピストルズのカヴァーがボーナストラックになってもいるし。全体的に、ノリがちょっと硬くなった印象である。これって、オリジナル・メンバーのなかでアクセルだけが残った再生ガンズのライヴの音に近くない? ストーンズ系グルーヴが後退したのは再生ガンズも同様で、ただアクセル組の場合はスラッシュ組とは異なり、パンクよりもメタル寄りのリズム感になっていた。
つまり、たとえヴェルヴェット・リヴォルヴァーのヴォーカルがアクセルになったとしても、ガンズ元々の音にはならないってこと。今ではガンズ的なものの崩壊を、アクセルVSスラッシュ組の対立図式で振り返ってしまいがちだ。でも、考えてみると、《ユーズ・ユア・イリュージョン I》、《同 II》の後にイジー・ストラドリンが脱退し、ツイン・ギターの一人が代わった段階で、ガンズ・サウンドの変質は始まっていた。ヴェルヴェット・リヴォルヴァーを聞いて、それを思い出した。スラッシュに比べれば地味だったイジーに、今さらながら存在感を感じている。
だけど、今さらイジーに戻って欲しいとは、思わない。ノスタルジーだけなら昔のメンツの音を聞きゃいい。イジーの不在を別のなにかでどうにかしてやろうとする気概こそが、アクセル組、スラッシュ組双方にロックをやろうとするうえでの「現在的な可能性」を与えているところがあるから。
それにしても、アクセルはどうなってんのかね。


さて、明日が浦安三社祭の宵宮である。大祭本番は明後日だ。だから、明日こそが前夜祭にあたるはずなのだけど、祭りの準備が整ったという高揚感からだろう、今夜は明かりの点った提灯の下で缶ビールを呑む「お神輿役員集団」を町のあちこちで見かけた。前夜祭の前夜祭かよ……。俺も呑んじゃお。