ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

ガンズ・アンド・ローゼズ live

昨夜、幕張メッセでガンズを見た。


まず、オープニング・アクトのムックが場違いだった。ギターはゴリゴリとメタルでハードなのだが、ヴォーカルが歌謡曲っつうか、いかにもヴィジュアル系なタイプなのである。
海外ではKORN主催のファミリー・ヴァリュー・ツアーにディル・アン・グレイが参加したことが最近、話題になったし、ハードでヘヴィな洋楽とヴィジュアル系を組み合わせるのはアリなんじゃない? ――的判断があったのかもしれない。
でも、アクセル・ローズのあの異様な声質を愛するガンズ・ファンというのは、歌謡曲的な歌い回しが好きでないから洋楽に向かったって面があるはず。だから、ムックみたいなタイプが前座では食い合わせが悪いし、彼らにとっても客にとっても幸せな出会いではなかったと思う。
自分は必ずしもこういうタイプのヴォーカルが嫌いではないし、別の状況で見れば違う感想を持っただろうが……。

WORST OF MUCC

WORST OF MUCC

で、本編のガンズ。
いいたいことは、まぁ、いろいろある。やっぱり、ギターは3本もいらないよ、とか。特にフライングVのギタリストは、〈ノッキン・オン・ヘヴンズ・ドア〉で曲から浮き上がった無意味な速弾きをしてくれて、イライラさせられた。キーボードにしても、2人じゃなく1人で十分だろう。
俺のすぐ後ろにいた客が、「メタボリック」とつぶやいていたのが印象的だった。その客は、アクセルの腹が出ていたことを言ったわけだが、プレイヤーが多すぎるバンドもなにやら厚ぼったくて、個人としてもバンドとしても「メタボリック症候群」な感じだったのである。
また、メンバーのソロ・コーナーの割合が多い。ピアノ・ソロで、ローリング・ストーンズ〈アンジー〉を弾くというのも、ベタベタで野暮すぎるし。
アクセルは、数曲歌ってはすぐ休憩に入るステージ構成にしているから、痩せないんだよ、まったく。


とはいえ、やっぱり昔のガンズの曲はよくできている。そのうえ、アクセルは姿形こそああなったけれど、特異なあの歌声はいまだに維持できている。バンドだって、人数は多すぎるにしても、器用な人たちを集めている。だから、《アペタイト・フォー・ディストラクション》、《ユーズ・ユア・イリュージョン》の曲が再現されるのには、単純に盛り上がった。
加えて、アンコールの〈パラダイス・シティ〉でもう終ったと思ったのに、もう1回出てきて〈ドント・クライ〉をやったのはよかった。たぶん予定になかっただろう〈ドント・クライ〉は、余計な脂肪分がなくさらっと演奏されたが、この日1番の好印象だった。

ユーズ・ユア・イリュージョンI

ユーズ・ユア・イリュージョンI

ただ、ライヴ全体としては楽しんだけれど、未発売数曲を聞いても、ガンズ新作への道筋は俺には見えなかった……。
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20070411#p1