ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

日本推理作家協会編『推理小説年鑑 ザ・ベスト・ミステリーズ2007』

ザ・ベストミステリーズ2007 (推理小説年鑑)

ザ・ベストミステリーズ2007 (推理小説年鑑)

「序」において大沢在昌会長が記している通り、今回からこのアンソロジーに収録する短編の選考方法が変わった。まず、各出版社の編集者が、自社の小説雑誌から推薦作を出す(これが一番大きな変更点)。また、推薦作以外の作品に関しては4人の委員が読み、収録候補作を若干追加する。そうして出揃った作品のなかからアンソロジー収録作を選び、さらにそこから日本推理作家協会賞短編部門の候補作を絞り込むという手順だ。で、今回、自分はアンソロジーにかかわる4人の委員のうちの1人だった。
当然、面白い短編ばかり選ばれたわけだが、本書冒頭に収められた横山秀夫「罪つくり」は、特に優れている。タイトルに象徴される人情話の要素と意外性が見事に融合された、ミステリ短編の見本みたいな作品だ。そして、「罪つくり」は、本格ミステリとしてみても優れているのだ。


(追記:以前の選考方法はどうだったのか? という反応があったのでお答えを。
http://www.geocities.jp/y_ayatsuji/
これまでは、対象となる1年間の雑誌掲載短編&アンソロジー収録の書き下ろし短編を7名の予選委員が分担して読み、各人が推薦作を上げる→それら推薦作を委員全員が読んだうえで討議し、アンソロジー収録作および推協賞短編部門の候補作を決定――という手順だった。それを今回からは、最初の選考の多くを各小説雑誌編集者からの推薦にかえるかわりに、そこから作品を絞り込む予選委員を、従来の7名から4名に減らしたということ)