ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

QUEEN+PAUL RODGERS『Let The Cosmos Rock』

忙しくて書けていなかったが、先日、↑のライヴ映像を見に行ったのだった。
http://www.t-joy.net/qp/
2008年9月12日のウクライナ公演。監督はクイーンの映像を何度も手がけてきたデヴィッド・マレット。前回ツアーとの比較を中心に備忘録。


オープニングは〈ワン・ヴィジョン〉を途中までやって、〈タイ・ユア・マザー・ダウン〉につなげていた。
ポール・ロジャースが今回歌った持ち曲で、これまで正式音源(《リターン・オブ・ザ・チャンピオンズ》、『スーパー・ライヴ・イン・ジャパン』)に含まれていなかったのは、1人でアコギの弾き語りをした〈シーガル〉、ピアノを弾いた〈バッド・カンパニー〉(←ポールの過去の写真をスクリーンに映していた)、〈シューティング・スター〉――(3曲ともバッド・カンパニーの曲)。
新作《ザ・コスモス・ロックス》から演奏したのは、〈コスモス・ロッキン〉、〈C−レブリティ〉、〈セイ・イッツ・ノット・トゥルー〉。
ヴァージョンが違っていたのは、前半をスローではなく元のパターンで演奏した〈ハンマー・トゥ・フォール〉。
とはいえ、オープニングが〈タイ・ユア・マザー・ダウン〉で、各人のソロ・コーナーも挿入しつつ〈オール・ライト・ナウ〉、〈ウィ・ウィル・ロック・ユー〉、〈伝説のチャンピオン〉で締めるセットリスト全体の大枠は変わらないし、変えようもない。前回との曲の重複は多い。その分、こなれたステージになっているが、新味をどう出すかが課題になる。
この点は本人たちも考えたようで、スクリーンの映像に宇宙的、ゲーム的イメージを使うなど目先を変えていた。とはいえ、ブライアン・メイのギター・ソロ・コーナーでフレディ・マーキュリーの映像&〈バイユー〉のヴォーカルを挿入し、〈ボヘミアン・ラプソディ〉以外にも彼との“共演”場面を増やしたのは、ちょっとやりすぎだと思った。
逆にいい工夫だと思ったのは、ブライアン・メイの〈ラヴ・オブ・マイ・ライフ〉弾き語りから始まるエプロン・ステージでの展開。同曲の次にブライアンのアコギ、ロジャー・テイラーのバス・ドラム&タンバリンでブライアンが〈’39〉を歌ったが、途中からはスパイク・エドニー(アコーディオン)、ダニー・ミランダ(エレクトリック・アップライト・べース)、ジェイミー・モーゼズ(ギター)のサポート陣を呼びこんだ。狭苦しいエプロン・ステージに5人が密集し、あの牧歌的な曲をちまちま演奏する様子が微笑ましい。
その後、ロジャーとダニーだけが残る。ロジャーがスティックでダニーのベースを叩き、ひとしきり演奏するのだ(トニー・レヴィンの場合、自分の指に棒をつけて1人でこれをやっているわけだ)。〈アンダー・プレッシャー〉、〈地獄に道づれ〉のフレーズも飛び出して客席が沸く。と思っていると、ロジャーの前にはバスドラしかなかったのに、いつの間にかスネアとハイハットが置いてあって、ロジャーのドラム・ソロが始まる。当然、シンプルなフレーズしか叩けない。そうしているうちにもスタッフが、タムだのシンバル類だのをどんどん並べていき、それに応じてロジャーのフレーズも派手なものになっていく。で、ドラム・セットが完成すると、メイン・ステージのバンドと一緒にロジャーが〈アイム・イン・ラヴ・ウィズ・マイ・カー〉をガーンと演奏し、歌い出す。このステージ進行は単純なアイデアだけれど、見た目に面白かった。映画館でも「カッコイイ、ロジャー!」と声がかかっていた(笑)。
続いて、ロジャーが前回ツアーのソロ・コーナーでやっていた〈セイ・イッツ・ノット・トゥルー〉を歌い出したが、今回はブライアン、ポールが順番にエプロン・ステージにやってきて歌い継いでいった(3人のリレー方式は、前回ツアーのハイド・パーク公演で〈イマジン〉(ジョン・レノン)をカヴァーした時にもやっていたパターン)。こうして再び、ソロ・コーナーから「クイーン+ポール・ロジャース」のまとまりへと戻る。
人や楽器の出入りで変化をつけていったエプロン・ステージでのこの流れは、とてもよくできていたし盛り上がれるものだった。よい演出だと思った。
リターン・オブ・ザ・チャンピオンズ [DVD]スーパー・ライヴ・イン・ジャパン [DVD]レジェンド・オブ・ロック [クイーン](DVDブック) (ヤマハ・アトスDVDブックシリーズ)アーティストファイル(17) フレディーマーキュリーファイル (Artist File (17))
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20071219#p2

  • 4日夜の献立
    • イカ大根(久しぶりにイカの下処理をしたぜ)
    • きんぴらごぼう
    • 大根の葉の味噌汁(汁にくるみをすりつぶしたものをプラス。ナイス)
    • 玄米ごはん