ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

中村屋

昨日、講談社の前を歩いていたら、隣の大塚警察署の前に多くのカメラマンが集まっていた。なぜかわからなかったが、今朝のワイドショーをみて知った。中村七之助が、警官を殴って逮捕されたのだった。困ったもんだ。
七之助は、2月は謹慎だという。しかし、問題は謹慎あけの3月。この月には、歌舞伎座で父・勘九郎勘三郎襲名興行が行われる予定であり、昼の部の演目には「口上」が組み込まれている。けれど、このままだと、襲名の決意を述べるより先に、息子の不始末に関する謝罪から「口上」を始めなければならん雰囲気ではないか。なんと、ばつの悪い。どうするんだろう? ここまで段取りがガチガチに組まれ、スケジュールが進行しているのだから、今さら襲名披露は延期できないだろうし。
息子も21歳なんだから、もう自己責任――つう考えかたもあるけれど、歌舞伎の舞台上では親子であることも「芸」のうち、みたいなもの。そのぶん、父であることが責められるのだね。
ちなみに、3月夜の部には、“盛綱陣屋”こと「近江源氏先陣館」が予定されている。実は昔、僕がはじめて見た歌舞伎の演目はこれだった。友人に誘われて幕見席に行ったのだが、その時は先代勘三郎勘九郎勘太郎と、中村屋三代が一度に出ていた。今思えば貴重な舞台を見たものだが、残念ながら、ほとんど記憶に残っていない。