ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

LIVE8

昨日深夜というか今日早朝に放送された「ライヴ8」ダイジェスト版を見る。
ロジャー・ウォーターズとデイヴ・ギルモアが久しぶりに並び演奏したサウンドは、確かにピンク・フロイドだった。ウォーターズのソロやギルモアズ・フロイドのライヴでは、優秀なサポートに音の骨格を引き受けてもらい、それにメンバーが乗っかって色を塗るようなもんだった。でも、サポートを少数におさえた今回の再集結では、メンバーたち自身が骨格を作っていた。彼らによるモタり気味でヨレっとしたアンサンブルは、サポートによる代行と比べ技術的には劣るが、このコンビネーション、間合いこそピンク・フロイド。なので、お帰りなさいって感じでした。
とはいえ……。


ギルモアは20年前のライヴ・エイドでは、ブライアン・フェリーのステージにゲスト参加し、ソロを弾いていた。
それにしても今回のライヴ8は、ライヴ・エイドにも出ていた人が多かった。U2デュラン・デュランアニー・レノックス、マドンナ、スティング、ブライアン・アダムスエルトン・ジョンポール・マッカートニーザ・フー……。ダイジェストの仕方のせいもあるのだろうが、彼らのほうが90年代以降デビュー組より目立った結果、全体が回顧的な印象になったのは否めない(観客の平均年齢も20年前より絶対上がっていた)。
そして、アフリカの地図をギターのボディに見立てたライヴ・エイドのシンボル・マークをアレンジし、ネックを8の字に結んだ今回のデザイン。これが、僕を憂鬱にした。G8に引っ掛けたわけだが、「8」の字がどうも、アフリカ問題は複雑に絡んでなかなか解けなくて進展がむつかしいです、ついでに音楽シーンも新しいもんを生み出せず停滞してます――ってことを、結果的に暗喩してしまっているように感じられたのだ。
サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド
ポール・マッカートニーU2がオープニングに演奏したのは、〈サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド〉だった。この場面には、アルバム《サージェント・ペパーズ》のジャケットのコスプレをしたミリタリー・ルックのホーン隊が登場。さらに、ロンドン会場のエンディングで、ポールが出演者たちと〈ヘイ・ジュード〉を合唱するなか、またもやコスプレ隊が姿を現していた。
《サージェント・ペパーズ》は「サマー・オブ・ラヴ」と呼ばれた67年を代表するアルバムだったわけで、同じ年に発表された〈愛こそはすべて〉が象徴しているように、ロックと「愛と平和」を結びつける考え方がこの時期に確立されたのだった。
そう考えると、67年から今年まで40年近くたっている。で、人類はどれだけ成長したの? ロックと「愛と平和」結びつけてどんくらいいいことあったの? この長い年月でなにがどう変わったってぇの? てなこと思うと、ますます憂鬱になっていく……。
(関連本:『ライヴ・エイドの軌跡』ISBN:4796644407