ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

太陽の塔と「太陽の季節」/カラスと飛行機

障子にペニス、沖ノ鳥島石原慎太郎

公式長編記録映画 日本万国博 [DVD]
部屋に小さいものをゴチャゴチャ増やすと怒られてしまうので、食玩は買わないようにしている。でも、我慢できずに買ってしまった、「タイムスリップグリコ 大阪万博編」。太陽の塔三波春夫、月の石など、1970年の万博関連のフィギュアを集めたシリーズで、僕の箱に入ってたのは、お祭り広場だった。これは、広場とその真ん中に立つ太陽の塔をワンセットにしたもの。
「グリコ」の小箱には、岡田斗司夫企画・発行、幻冬舎編集の説明書きが封入されており、万博でテーマ館サブ・プロデューサー、太陽の塔内部展示担当プロデューサーだった小松左京による、「太陽の塔」は『太陽の季節』から、と題したコメントが掲載されている。そこで小松が証言していたのは、岡本太郎からお祭り広場の大屋根を突き破るタワーの模型を見せられた時のこと。

それを見て私は「『太陽の季節』みたいだ」と吹き出したのだが、太郎さんは「ん、太陽? それは良い、太陽の塔にしよう」と、シンボルタワーの名前が「太陽の塔」に決まったのだ。

掲載された文だけではわかりにくいが、小松左京はきっと、石原慎太郎のデビュー作「太陽の季節ISBN:4101119015連想したのだ。主人公が勃起したペニスで障子を突き破るあの一節と、大屋根を裂いたみたいに屹立するタワーはなるほど似ている。太陽の塔が万博のシンボルタワーであった一方、陰茎は男のシンボルと呼ばれもするし。
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20050509#p1

シンボルとそれを取り囲むもの、そして石原慎太郎――といえば、最近のことがらで想起するのは、今年5月に彼が上陸した沖ノ鳥島だ。日本の最南端の島でありながら海に浸食され、中国から“岩”だといわれるこの場所。島を守るため、岩礁の周囲を消波ブロックやコンクリートで囲い、中心部をチタン製の蓋や網で覆う措置がとられている。
かつて「太陽の季節」において、勃起したシンボルは目前にあるものを突き破った。けれど今、沖ノ鳥島という海で萎えかけている国益のシンボルを応援するために石原慎太郎はいる。それはまるで、反抗 → 保守 という彼のキャラの変遷を象徴するみたいに感じられる。

制空権をめぐって

――なぁんて風に、石原に皮肉な目線を向けたくなるのは、ここのところ近所でカラスが増え、僕がいら立っているせいである。知られている通り、石原都政はカラス対策を進めてきたわけだが、そうして東京から追い出されたカラスどもが川一本へだてた千葉県浦安市に飛来しているのではないか。このため我が家の前であいつらが生ゴミを喰い散らかし、出入りのたびに僕が臭さに苦しむはめになった。そうだそうだそうに決まってるええそうですとも。
浦安および千葉は、羽田空港の離発着ルートの件でも東京と摩擦があった。羽田空港の拡張に伴って浦安を横切る飛行機の数が増えそうになり、騒音問題から別ルートを検討するよう国土交通省に要請した経緯もある(それで議論になり国交省が修正案を示したのは、ちょうど石原の息子が担当大臣だった時期だ)。空港から直接、経済的利益を得る都側は隣の県に負担を押し付ける反面、自身の上空を飛ぶことは受け入れたがらない――という不満や不信が浦安&千葉にはあった。
こうしてみると、東京がこっちにやっかいなものを押し付けようとしている――というイメージでは、カラスと飛行機が同類に思えてしまう。


  • 10日朝の献立
    • あじの開き
    • ニラ卵の味噌汁
    • おくら納豆
    • 玄米ごはん
    • トマトジュース

――雑記帖にはほとんど記さないが、たまに簡単な朝食を用意する。昨夜は寝つけなかったので、午前3時半から起き上がり、近頃食品売場の24時間営業を始めたスーパーに行き、ニラやおくらなどを買ったのだった。
自転車で駅のロータリーを通り過ぎる時、若い女がふらふらと近づいてきて驚いた。酔っぱらいか? ぶつけちゃまずいし、吐かれても困る。と思って遠ざかろうとするとさらに寄ってくる。すると、「マッサージいかがですかぁ?」だって。こんな朝早くから抜きたいほど元気じゃねえよっ! かと思えば、目の血走ったオヤジがやっぱりふらふら歩いていて、手に持ってた透明ビニール傘を銀行の駐車場に思いっきり投げ込み(ガゴン!)、近くの柵になぜだか体当たりしていた(ゴツン!)。なんだかこの時間おっかないなぁ、もう早朝に買出しに行くのはやめよう。でも、本当にホッとした、買った卵を割られなくて……。

  • 10日夜の献立
    • 鶏レバーのしょうが煮(赤ワイン、しょうが、にんにく、ブイヨン、しょうゆ)
    • 赤キャベツ、レタス、ミニトマトのサラダ(マヨ、酢、白ワイン、粗糖、オリーブオイル)
    • ゴマ豆腐
    • ポテチ(のり塩
    • 発泡酒雑酒、酎ハイ